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和室があれば窓にカーテンではなく障子があり、いつ張り替えたのかも分からないほど日焼けして暗い印象なのをずっと気にしてる方は多いのではないでしょうか。
中には破れているけど、どこにどう依頼して良いか分からない!なんて方も。
結論から言いますと一昔前なら【表具店】に依頼するか【自力】で貼り替えるしかありませんでした。
現在では表具店さんが減って畳店で貼り替えを承っている場合が多いですが、料金のことを考えると『自力でやってみようかな?』と思う方が多いと思います。
材料はホームセンターで揃いますし、今ではYouTube動画を検索すれば障子の貼り替え方はすぐに見つかります。
しかし自力で貼っては見たものの・・・、シワだらけで以前のようにピンと張っていないとお困りではないでしょうか?
今回は以前にも投稿しましたが更に詳しく自分で貼った障子のシワ伸ばしの方法と、そもそもシワになりにくい貼り方を解説していきたいきます。
障子の張り替え方の詳しい記事はこちらを参照してください。
自分で貼った障子にシワができた!でも霧吹きすれば良いんでしょ?の大きな間違いとは
昔から障子を貼ってシワになれば「霧吹きすれば直る」とよく聞きますが、実はこれ大きな間違いなんです。
実際にプロは仕上がった障子に霧吹きをしたりしません。
そもそもシワができないように貼る技術があるのは勿論、霧吹きをすることによるデメリットを熟知しているからと言うのもあります。
そのデメリットとは、まず障子の材質と構造にあります。
天然素材でできた障子は木材の桟に紙を貼り付けた構造になっていますよね。
ご自分で貼って失敗した方は分かると思いますがシワができる箇所は四隅か上下に多いです。
そしてシワになった箇所に霧吹きをすると一時的にする前よりもシワシワに紙が弛みますが、シワ自体が大きくなければ乾くと嘘のようにシワが消えます。
シワの無い元の障子
霧吹きをした直後の障子
そのため普段から自分で障子の貼り替えをする方ほど霧吹きを多用するのですが、紙の構造上水分を含むと繊維が膨らみ、また乾くと繊維が縮まることから張っているため『紙に対して急激な伸縮という不可』をかけています。
簡単に言うと必要以上に短期間で一気に縮むので木製の桟が引っ張られて歪み、場合によっては障子本体が反ってしまう事もあります。
特に四辺の枠と組子と呼ばれる桟が独立している障子は、枠から組子の枠が引っ張られて剥離し隙間ができます。
枠と組子が独立しているタイプの障子
まだある障子に霧吹きをするデメリット、直ったはずのシワが復活するって本当?
障子紙は主にパルプを原料としておりますが他にもレーヨン入りの強化紙や楮(こうぞ)の天然和紙など様々です。
紙の特性上、湿度が高ければ吸着して膨らみシワができたり弛んだりしますが、逆に湿度が低い時は吸着した水分を放出して紙自体が縮みピンと張ります。
そのため貼りたての障子紙に霧吹きをすると前述の通り一時的にシワっぽくなりますが、乾くと張る現象がおきます。
しかし出来てしまった大きなシワは紙が均一に伸びた状態ではなく、どの方向かに寄っているため起きるため、一時的に消えたように見えるシワや弛みも雨で湿度が高い日には元通りになってしまいます。
厳密に言うと貼った直後のシワや弛みよりは軽減されるのですが、四隅に大きくできてしまった場合は元に戻りません。
プロが霧吹きを使用しないのは自然な湿度変化で数日をかけて徐々に障子紙を張らせるという理由からなのです。
特にレーヨンの入った強化紙は伸縮性が強いので、霧吹きをすると必要以上に張って声が響いて反響してしまう場合もあります。
また、天然の楮和紙などは長い日数で徐々に張っていく性質がありますので、納品されてしばらくは雨天でシワや弛みが目立つという傾向にあります。
楮和紙は繊維が多く入っている
自分で貼り替えても障子がシワや弛んだ状態にならないようにするには
まず大前提として【障子紙の貼り方】を正しく行ってください。
障子紙をホームセンターなどで購入すると紙が巻いてあり丸まった状態で購入することになります。
それ自体は貼りやすいので問題ないのですが組子と呼ばれる格子状の桟に糊を付けて転がす際、ロール状になった紙に弛みがあると均一に転がりません。
位置を決めたら定規などの重しをして転がす前にロール心棒の穴に指を入れて巻きをきつくしてから転がします。
両手で心棒の穴に指を入れて弛みを無くす
転がした後は更に重しをして次に使うために同じように両指でロールを掴んで巻きをきつく直します。
せっかくきつく巻き直したので、それが緩まぬように立てかけるなど工夫が必要です。
転がし終わったら同じように巻きをきつくする
次に糊が乾かないうちに手早く指で接着面を上から撫でていきます。
この時に『明らかなシワ』があれば紙の端を軽く引っ張っておくと良いでしょう。
指で撫でるのは中央から端へ向かってします。
中央から外側へ
四隅は特にシワができやすいので紙を外側へ引っ張るように指で撫でてください。
コツは角に向かって撫でるのではなく必ず垂直方向かやや角から外側に力を加えます。
垂直方向外側か角に対してやや外側へ
紙をカットした後にも四辺だけもう一度同じように力を加えて指で撫でると完璧です。
この状態で大きなシワがあれば残ってしまいますので、糊が乾く前に手早くやる必要があります。
紙を転がしただけの状態
指で撫でて紙をある程度張った状態
まとめ
・プロは障子を長持ちさせるために霧吹きしない
・仕上がった障子紙に霧吹きをしてもシワが戻る
・シワを作らないような貼り方が大事
プロが仕上げた直後のシワの無い障子