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障子なんて剥がして張るだけでしょ?
ちょっと待ってください。
やったことのある人でも、その剥がし方や張り方は本当に合っていますか?
意外と知らない『障子の寿命を延ばす』簡単なコツまで詳しく説明します。
破けてしまった障子
- 道具を揃えよう
- 剥がし方によって障子の寿命が縮む?
- 糊と刷毛はスピードが命
- シワにならない貼り方のコツ
1.道具を揃えよう
例え一枚だけの張り替えでも道具は必要です。
枚数が多くなればなるほど、ちゃんとした道具があった方が仕上がりが良いのは勿論、張る時間も短くて済みますよね。
とは言えプロ用の道具は高いので代用品でも構いません。
ホームセンターでほとんどの道具は揃うので、初めに最低限度の物だけご紹介します。
プロ用の道具類
・刷毛
出来れば2つあると便利です。
1つは糊付け用ですが、もう1つは古い障子紙を剥がすのに使います。
ホームセンターで売っているチューブ糊を使用する場合は必要ありません。
また剥がすのに濡らすだけならスポンジでも代用できます。
これほど本格的で無くてよい
スポンジ
・ヘラ(金属製)
こちらは古い障子紙を剥がした際、残ってしまった紙や糊をこそげ落とすために使います。
固くないと意味が無いので出来るだけ金属製を選んでください。
カッターなどで代用すると必要以上に削ってしまうため辞めましょう。
薄いヘラを購入すると作業時間が大幅に減るメリットもあります。
このようなのなら何でも良い
・雑巾と歯ブラシ
敢えて購入する必要はありませんが剥がした箇所や障子に積もったホコリを取るのに使用します。
洗剤は必要ありませんので、普通に掃除する感覚で良いと思います。
雑巾で拭き切れない角を掃除
・障子紙
これ一番大事ですね。
種類も豊富にありますので、自分のお部屋の環境に適した物をチョイスしてください。
具体的には破けにくい物が良いのか、調湿機能があった方が良いのか?など迷ったり悩んだりした時は以下のリンクを参照してください。
【障子】紙の種類によって違う機能が!破けない?水拭きできる?デザインが自分で出来る?【張り替え】 | 北区で四代110余年 (有)八巻畳工業 (yamaki-tatami.com)
・糊(のり)
刷毛のいらないチューブ糊やアイロンで貼り付けられるタイプの障子紙の場合は必要ありません。
※アイロンで貼るタイプはかなり仕上がり難易度が高いのでお勧めしません
昔はお米を煮詰めてドロドロのデンプン状にした物を糊と呼んでいたので、根気のある方は自作しても構いません。
変な糊を選んでしまうと接着が強すぎて、次に張り替える時に苦労します。
{ヤマトのり(チューブ)}のような糊を水で溶いて使用しても構いませんが、出来るだけ薄くするのがコツです。※アラビックヤマトではない
障子用の糊として売っていれば、それが一番安全かもしれません。
プロは灰汁(あく)止めの煮糊を使用しています。
理由は接着面から灰汁が黄色く浮き立つのを防ぐためです。
ゆっくり垂れる程度が濃さの基準
・テープ
障子紙を仮止めするのに使用します。
丁度よい大きさのクリップなどでも代用できます。
プロが使用するような長くて重みのある定規が2本あれば必要ありませんが、なかなか揃わないと思いますのでセロハンでも養生でも良いので用意してください。
仮止め用
・カッターと長めの定規
障子紙を切る際に使用します。
定規は長ければ長いほど一回で切れる長さが多くなるので仕事が早く済みます。
真っすぐの物であれば代用可能です。
カッターの刃は惜しまずどんどん折って新しい刃で切ります。
切れない刃物ほど怪我に繋がるのでご注意ください。
定規は長めが良い
2.剥がし方によって障子の寿命が縮む?
皆さんが障子紙を剥がす際、ビショビショに濡らして束子(たわし)で擦って紙を剥がしていませんか?
これ、障子の寿命を短くするだけではなく、怪我にも繋がりますのでお勧めしません。
昔の障子は{杉}や{ヒノキ}など硬い材料で障子を作っていましたが、現在ではほとんどの場合{スプルス}を使用しています。
スプルスは木目も出ず柔らかくて加工しやすいのが特徴です。
しかしその柔らかさは接着面が紙を剥がした際に毛羽立ちやすくササクレが多く出来てしまいます。
張り替えをすればするほど毛羽立ちササクレるので、指に刺さって怪我に繋がるのです。
また完全に濡らすと灰汁が出るだけではなく、木が変形して障子が反る原因にもなります。
刷毛やスポンジなどに水を染み込ませて木と紙が接着した部分だけを濡らして剥がすことにより、上記のような現象を防ぐことが出来ますので試してみてください。
スポンジを濡らして桟に水を含ませる
剥がし残った紙と糊をヘラで取る
雑巾と歯ブラシで拭いて乾かす
3.糊と刷毛はスピードが命
当然ですが糊を付けたら乾く前に紙を貼らないと意味がありませんよね。
まず糊を付けていく順番は{組子}と呼ばれる中心部分の格子状になった桟からです。
最後に外周である木の部分に糊を付けることにより、外側が剥がれてしまうという最悪の状況を防ぎます。
障子には糊代(のりしろ)のように接着面が分かるように薄い溝がありますので、その部分に糊を付けていきます。
糊を付け始めたら電話が鳴っても人が来ても後回しにしてください。
手早く薄く塗る
4.シワにならない貼り方のコツ
障子本体に糊を付け終わったら紙を貼ります。
大抵の場合はロール状になった障子紙を転がして貼っていきますが、この時スタート時点の紙に定規などで重しをするか、テープで二箇所ほど固定しておくと紙の跳ね返りを防ぐことが出来ます。
ホームセンターで売っている障子紙は2mや4mと短いため、ロールの芯が細いため紙の巻きがきついです。
そのため紙に癖が付いていて丸まろうとする力が働きます。
固定したら紙を転がします。
紙は障子に対して大きいので多少曲がっても大丈夫です。
問題は紙のダブつきいかに伸ばすか?です。
シワの原因は紙がピンと張っていないことにありますので、転がす際も紙が出来るだけ張るようにしてみてください。
転がし終わったら短手の余分な紙を切ってテープなどで固定します。
定規を重しに使っても良い
そして中央から外側に向かうように接着面を紙の上から指でなぞっていきます。
組子(中央の格子状の桟)から全ての接着面を指でなぞったら外周を同じようになぞります。
この時に注意してほしいのは『同じ方向にだけ力を入れて指でなぞらない』ということです。
どうしても紙が引っ張られてシワになりやすいので、右から左に押したら軽く左から右など、紙が一方行によらないように工夫してください。
指で撫でるように擦る
最後に定規を使ってカッターで切ります。
糊代(のりしろ)の薄い溝に合わせて切っていきますが、怪我を防止する最大のコツは『カッターが向かってくる方向に押さえる指を置かない』ということです。
一気に切ろうと思うと押さえている手にカッターが向かいます。
手を切る怪我に繋がるので少しずつでも良いので無理せず慎重にカットしてください。
完成!後は乾かすだけ
最後に
張り終わった障子はまだ接着面が乾いていませんので簡単に剥がれてしまいます。
元の場所に戻すのは完全に乾いて紙が剥がれなくなってからです。
また、障子を運ぶ際にうっかりすると家具の角などで破いてしまうことがあります。
せっかく仕上がった障子が破けてしまった時の落胆ぶりは、破った人(私)にしか分かりません。
紙を丁度しか購入していない場合は改めて買いに行かなければなりませんし、貼った直後の紙を剥がすのも悲しすぎます。
どうか最後まで集中を切らさず頑張ってくださいね。
自分でやってみて大変だったり上手くいかない方はプロに依頼しましょう。
その際「余ってしまったから」などの理由でホームセンターで購入した紙を提供して貼ってもらうのはNGです。
ホームセンターの紙とプロ用の紙は全然違うので貼りにくいし施工価格もほとんど変わりません。
一部破けた時用などに取っておきましょうね。
東京都北区で四代110余年
障子の事なら 有限会社八巻畳工業