家が古くなると襖や障子などの建具が重く感じたり開け閉めが不自由になる事がありますよね?

大抵の場合は敷居(しきい)という建具のレール部分が滑るようになると解決するのですが、場合によっては戸車が原因という事もあります。

今回は様々な原因で動きが悪くなったり滑らなくなった引き戸を、元通り開閉しやすくする方法を解説していきます。

全く動かない場合や襖や障子を外したいけど外れないという方は下記のリンクを参照してください。

 

 

襖(ふすま)・戸襖(とぶすま)・障子(しょうじ)による構造の違いについて

一般的に【建具】と一括りにされがちですが襖と戸襖と障子は本体の構造が違います。

例えば襖と障子は見た目が全然違いますよね。

しかし本体は格子状の木材で作られており、その上から紙を貼っているという点ではかなり似ています。

上記の2点で大きく違うのは縁(ふち)が有るか無いかです。

襖には四方を囲うように縁が有りますが、障子は本体自体が縁の役割を果たしていて簡単には外れません。

その点で言うと縁が無い障子と戸襖は良く似ています。

しかし戸襖が例外なのは本体部分にベニヤ板が張り付けられており、その上から紙を貼ってある事と、洋間と和室の間仕切りに使用されるので片面は襖紙で、もう片面は板や壁紙が貼ってある事です。

そのため戸襖は重いので【戸車】という車輪が付いている場合が多くあります。

襖や障子に戸車は付きませんから、その点は戸車だけ大きく違うと思ってください。

 

襖は下桟の縁で滑る

 

障子は本体の下部分で滑る

 

戸襖は戸車で滑らせる

 

 

襖と障子の動きを軽くして滑りを良くする方法

襖は紙を何重にも貼り重ねてなければ自重はそれほど重くありません。

障子も紙が一枚貼ってあるだけですので軽いはずですよね。

両者が開閉で重く感じる、滑りが悪く感じる大抵の原因は敷居にあります。

 

まず最初に確認してほしいのは敷居に【敷居スベリ】が貼ってあるか?

 

敷居スベリテープ

 

貼ってある状態

 

古くなった敷居スベリ

 

貼ってない場合はネットやホームセンターで簡単に購入できますので、必要な長さに合ったタイプを購入して貼り付けてください。

敷居の溝(掘ってある部分)が浅くテープを貼ると段差がほとんどなくなる場合や、その掘ってある部分が竹などの滑りやすい木材で出来ている場合は貼らないでください。

その場合はロウソクで溝部分を擦ると滑りが良くなります。

時間の経過とともに重く感じてきたら、またロウソクを擦ってみてください。

 

ロウソクでも滑る

 

※ロウが付いた場所は敷居滑りが貼り付きにくくなります

 

 

戸襖の動きを軽くして滑りを良くする方法

戸襖といっても【戸車】が付いていないタイプもあります。

その場合は上記の襖や障子と同じ方法を試してください。

戸車が付いているか付いていないかを確認するのには、一度戸襖を外して(手前にずらすだけでも良い)下から覗き込んで車輪が有るか無いかを見るのが確実です。

開閉で明らかに「ゴロゴロ」車輪が転がる音がすれば戸車が付いています。

しかし最近では静音のゴムタイプなどもありますので、直接見て確認する方が良いかもしれません。

 

タイプ別の戸車

 

戸車が付いているのに動きが重い場合は大きく分けて2種類の原因が考えられます。

まず1つ目に戸車が収まっている溝に髪の毛やホコリが詰まって車輪が回りにくくなっている場合。

これは戸襖を外して戸車の溝に入ったゴミを掻き出し、車輪がよく回るようにしてください。

もう一つは戸車の車輪が劣化して剥がれている場合。

戸車の車輪はプラスチック製が多く、経年劣化で車輪の外側が剥がれて回転しなくなっている事がよくあります。

こうなってしまうと解決方法は戸車を交換するしかありません。

ご自分で交換する場合は【釘抜】や【マイナスドライバー】を使って、てこの原理で釘を抜いて外します。(時々ビス止めの場合もあります)

その戸車を持ってホームセンターや金物屋さんに行くと同じ物がありますので、購入後に元の位置にはめて釘を打てば完成です。

もし同じタイプが無い場合は溝を再加工する必要があるのでかなり大変な作業になります。

ネットで同じ物を探したりして、出来るだけ同じタイプを手に入れることをお勧めします。

 

 

上記の方法を試してみても動きが悪く開閉で重く感じる時は

上記の方法は建具が取り外し可能な状況での対処方法ですので、外れない場合などは鴨居(かもい)が下がっている可能性がかなり高いです。

その場合はプロに依頼しジャッキで鴨居を持ち上げて、建具自体の上桟を削ってもらう必要があります。

 

鴨居

 

他に考えられる原因としては建具自体が反っている、捻じれている、という状態です。

鴨居や敷居の溝が真っすぐなのに対して建具自体が平行に出来ていないと、摩擦が大きくなって滑りが悪く開閉で重く感じます。

反りや捻じれは戸襖に多い現象で、直すというのは非常に難しいので戸襖自体を新調するしかありません。

反りや捻じれの原因は様々な要因がありますので一概には言えませんが、多くの場合は湿度による木材の変形など戸襖の構造にあります。

そのため簡易的には直せないという現状です。

 

右から2番目に反りが出て湾曲した戸襖

 

 

まとめ

建具の動きが悪い原因はいくつかありましたが、基本的には『滑りを良くする』という事を心掛けてください。

襖・戸襖・障子は傷んできたり汚れたら張り替える物です。

定期的に張り替えをプロに依頼し、その際に滑りのメンテナンスもしてもらうとストレス無く、日頃の開け閉めがスムーズにいくことでしょう。

 

 

東京都北区で四代110余年

有限会社八巻畳工業

03-3917-9827