ご自宅の障子、木製だと思っていたらアルミで出来ていた!なんてことが良くあるようです・・・。

防炎法などの関係でマンションの障子に多いのですが、最近では一般戸建てにも普及してくるようになりました。

使用していて木製かアルミ製か分からないことなんてあるの?と、お思いの方もいるでしょう。

しかしこのアルミ製障子、非常に良く出来ていて見た目は木材と相違ありません。

強いて言うなら触った時に感触が金属特有の冷たさや硬さといった所でしょうか。

今回はこのアルミ障子の正しい張り替え方を説明していきます。

自己流でやると大失敗する事もありますのでご注意ください。

 

剥がす前のアルミ障子

 

1 上桟を叩いて外す

よく普通の障子のように紙を剥がしてから、そのまま張り替えてある物を見かけますが大体剥がれてきます。

『紙じゃくり』といって糊代部分が少なく外枠との段差があるので、貼りにくく接着も木材と違いますから糊が付きにくいというのが原因です。

 

段差があります

 

そのため剥がれないように貼るためには『組子』と呼ばれる中残部分を外枠から外して貼る必要があるのです。

メーカーによって仕様が違いますが8割方は『上桟』を外側に叩いて外す方法で取れます。

※縦方向の外枠に樹脂のような衝撃緩衝材が付いている場合は、それを剥がした所にビスがあるので緩めてから上桟を外します

↓その場合はこちら

 

【アルミ障子】の正しい張り替え方教えます!【上桟ビス止めの場合】

 

叩いて上桟を外す際の注意点は木槌(きづち)で叩くか当て木をしてアルミが傷まないようにします。

今回は木槌と当て木を両方使いました。

真ん中は叩く必要がありませんので左右を平均に叩いていきます。

少し叩いてみて全然動かない場合はサイドや上側でビス止めされている可能性があるので、あまり強く叩き過ぎないでください。壊れます。

その前に

 

上桟の端の方(マイナスドライバーの先端)にパーツが折り曲げてある部分が上下あります。

これをドライバーなどで起こしてから外すタイプもあります。

 

上下共に起こしました。

この部分が引っかかって外れないようになっていますので、起きてしまえば叩かなくても引くだけで外せます。

 

まず片方を叩いて

 

 

動いた分だけもう片方も叩く

 

 

2 印をする

障子を正面に見て引手が左にあれば養生テープなどを貼り『左』と書いて貼っておきます。

なぜこのような事をするかというと、アルミ製の障子枠は同サイズで作られているのは間違いありませんが、万が一寸法が微妙に違った場合に取り付けが難しくなる可能性があるからです。

面倒でも上桟と組子には(2枚なら片方だけでも分かる)印をしておいてください。

組子は上下が分かりにくいので印を貼った方が『上』などと自分でルールを決めておきます。

 

上桟に『左』と記す

 

組子は上下も分かる役割がある

 

 

3 古い紙を剥がす

外枠から組子を引き抜く際には1人では難しいので、誰かに押さえるのを手伝ってもらうと楽です。

引き抜いた組子は普通の障子のように剥がせますが、水を掛けて丸洗いは避けた方が良いかもしれません。

桟の中に水が溜まって抜けにくいので、貼り終わってから染み出てくる可能性があります。

刷毛やスポンジを濡らしてしっかり組子に水分を行き渡らせてください。

 

※詳しい剥がし方はこちら

 

お客様が枠を外さず貼った

 

ここで一番重要な点!

アルミ障子は組子の接着面にザラザラした塗料が塗ってあります。

これはアルミ直だと糊が付きにくいためで、この茶色いザラザラした塗料は絶対に剥がしてはいけません。

金ベラを使って紙を剥がす際はかなり慎重に作業してください。

もし剥がしてしまうと、その部分だけ剥がれやすくなりますので糊を濃くします。

メーカーによってはこの部分だけ木材になっていたり、糸を貼ってある場合もあります。

その場合は普通に剥がして大丈夫です。

 

塗料が剥がれるとアルミが剥き出しになる

 

ヘラを立てて手前に引くように剥がす

 

布を当てて剥がす

 

剥がし終わったら組子と外枠を綺麗に雑巾で拭き上げます。

 

綺麗に拭く

 

 

4 紙を貼る

十分に乾かせた組子を台に乗せ、外側は端の方まで糊を付着させます。

紙を貼ってすぐに組子の端一杯で四方の余った紙をカッターで切ります。

そして組子縦桟にある出っ張りに乗った紙を切り抜きます。(3箇所ずつ計6箇所)

コツは糊が乾く前に急いで切り抜く事と、大きく切り抜き過ぎない事です。

よく圧着してください。

 

出っ張り部分を切り抜く

 

 

5 組子を外枠にはめ込む

糊が乾いたら外した時の逆をやっていく訳ですが、この作業も1人だとかなり厳しいので誰かに手伝ってもらいましょう。

両サイドに立ち同じ力加減で平行に入れないと食いついてなかなか入りません。

最後に上桟を叩いて入れたら完成です。

 

完成

 

6 アルミ障子の特性

アルミ障子は材質以外で普通の障子と大きく違う点が2つあります。

1つは上桟に付いた丸い器具。

これは鴨居の溝幅に障子の厚みが丁度良くなるように設定できる振れ止めです。

問題無ければいじるのは止めましょう。

 

振れ止め

 

 

次に下桟裏側の左右端にあるビス山。

こちらはプラスドライバーで回すと下桟が出たり入ったりします。

障子の入っていた木枠に歪みや傾きが出てきたら、コレで調整して転ばせます。

あまり出すと丈が長くなるので入らなくなりますから注意が必要です。

 

コケ・転び調整

 

 

いかがだったでしょうか?

自宅の障子を張り替えようと思ったらアルミ製だった!なんて時にお役に立つかと思います。

メーカーによって仕様が違いますので、くれぐれも慎重に外してみてください。

 

東京都北区で四代110余年

有限会社 八巻畳工業