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「和室に家具があるけど畳替えできますか?」という質問をよく受けます。
結論から言うと『できます』という答えになります。
では住人の方は自分でどこまで事前に家具を片しておけば良いのでしょう?
今回は家具の移動を種類別に細かく説明させていただきます。
当店は二人で移動
1 畳替えで重要なのは【お見積もり】
まず前述したように家具があっても畳替えは可能です。
しかし大きな家具の移動が『有料』か『無料』かは畳店によって違いますので、必ず見積もり時に確認が必要になります。
電話やメールで問い合わせても良いですが、現調してもらうと一番正確だと思います。
そしてお住いの状況によっては家具の移動が困難な場合もありますよね?
・病気で体が思うように動かない
・高齢で重い物は移動できない
・和室以外に物を置くスペースが無い
・ピアノのように重量物がある
・貴重品がある
上記のように家具の移動が困難な場合は詳しく説明するか、現調してもらってお見積もりをもらいましょう。
ピアノや金庫、高価な壊れ物などは特に有料か移動を断られることもあります。
2 家具の種類と事前準備
ここでは和室にありがちな家具とその事前準備について説明します。
基本的に二人で持って移動できる家具はそのままでも良いことが多いです。
畳替えの当日までに『貴重品』『細かい物』『壊れ物』は必ず和室から出しておくようにしてください。
保険加入している業者としていない業者がいますので、できれば組合等に加盟して保険加入している業者が安全です。
畳の上にある家具等は必ず移動して畳を引き上げたり採寸しますので、物はできるだけ無い方が良いです。
・お仏壇
移動の際に中の{御位牌}{香炉}{コップ}など、倒してしまうと大変なので事前にお仏壇の中身は全て抜いておいてください。
・箪笥(たんす)
基本的に中身を抜く必要はありませんが、かなり大きい場合や重い場合、手を掛ける場所が無いなど移動困難な時は中身を抜いていただくことがあります。
また、手を掛けるために引き出しを少し開けさせていただくこともあります。
他の大きな家具と同じように『カグスベール』という道具で、畳を引き上げた場所に代わりの畳を置いて滑らせて移動します。
カグスベールを下に差し込み
代わりの畳を設置
そちらに移動
・本棚
本は重いので移動の際に本棚自体が歪んだり壊れたりすることが多くあります。
そのためお手数ですが事前に本を抜いておいてもらえると助かります。
もし困難な場合はお申し付けください。
空の段ボールなどあれば、こちらで詰めて移動も可能です。
レコードも本と同じような扱いになります。
・テレビ台
可動式の台でも引きずると畳に傷が付きますので、基本的には持ち上げて運びます。
この時に配線が短いと移動できませんのでコンセントから抜かせてもらうこともあります。
パソコンも同じです。
納品後、業者が帰る前にテレビがちゃんと映るかを確認してください。
・絨毯(じゅうたん)や上敷きゴザ
事前に丸めて移動しておいてもらうと助かります。
家具が上に乗っている場合は業者が剥がしますが、家具を移動するのに切らないといけない場合があります。
切らずに再利用したい場合は家具の中身を全て抜いておく必要があります。
一年中敷きっぱなしにするとダニが発生しますので、家具の下に絨毯やゴザを敷くのは辞めましょう。
・机と椅子
二人で持って運べる程度であればそのままで大丈夫です。
机の上にある物は移動の際に崩れる可能性があるので、事前にどかしておきましょう。
・食器棚や飾り棚
中身が壊れ物ですから事前の移動をお願いします。
特に食器は重いので移動しておきましょう。
・ピアノ
移動は可能ですが畳屋が調律はできません。
非常に重いので有料の場合があります。
・金庫
小さな物なら移動できます。
大きい場合は移動できないか有料の場合があります。
・高価な壊れ物
壺などの骨董品は移動の際に破損の恐れがありますので、事前に移動をお願いします。
人形ケースも底が抜けやすいので、壊しても構わないという場合のみ業者が移動を引き受けます。
・水槽
水が入っている状態では移動不可です。
中身を空にしておいてください。
移動して中の生物が死んでしまっても責任は取れません。
・ベット
普通のベットであればマットレスだけの状態にしておいていただき、事前にお布団や枕は収納するか移動しておいてください。
畳を剥がすとホコリが舞います。
介護用ベットも移動可能です。
部屋が狭く移動困難な場合は他の家具を出せるスペースを確保する必要があります。
・座卓
一枚板で出来た重量のある座卓などは業者が移動します。
軽い物なら一時的に立て掛けておくなどします。
・マッサージチェアや健康器具
移動可能ですが置いておくスペースが必要です。
大きなマッサージチェアは持ち上げ困難なので引きずらせてもらうこともあります。
・箪笥の上の荷物
そのまま箪笥を移動しても天井のライトに当たらない場合などはそのままでも大丈夫です。
壊れ物などがあったり重い時は移動させてもらいます。
高い所の作業になるので無理しないようにしてください。
3 家具の設置について
・重量のある四つ脚家具は畳に食い込んで凹みを作ってしまいます。
板などを敷いて予防しましょう。
・よく家具を後ろに傾けるために細長い板や新聞紙を折り畳んだ物を下にかませている方がいますが、地震の横揺れで家具が滑り出し大変危険です。
樹脂製の専用転倒防止具がありますので、突っ張り棒やL字金具などと併用して地震に備えましょう。
・車輪が付いている椅子も畳を傷める原因になります。
可動範囲にタイルカーペットなど、絨毯のようなものを敷いておくと傷みません。
タイルカーペット
・結露が酷い壁などに家具をピッタリ設置するとカビが発生します。
その場合は風が通るように少し壁から離した位置に家具を置くと良いでしょう。
結露が無ければ壁際に設置した方が座りが良いのですが、壁より少しだけ『畳寄せ』という木材が出っ張っています。
この上に重い家具を置くと畳寄せが沈んで壁との間に隙間ができてしまうので、家具の設置は畳の上ギリギリまでにした方が良いです。
・長時間、同じ場所に家具を置いておき久しぶりに移動すると、置いてあった箇所だけ青々として目立ちますよね?
しかし日当たりの良い場所なら半年程度で日焼けして目立たなくなります。
4 まとめ
有料か無料かの違いはありますが、基本的に和室の家具は大きい物でも業者による移動が可能です。(因みに当店は今のところ無料)
逆に細かい物が多くある方が大変で、壊れ物なども神経を使います。
畳は張り替えの際であれば代わりの畳を敷いて家具を滑らせることができますが、新調の場合はお部屋の畳だけではなく家具も全て無い状態で採寸をします。(少しくらいならあっても平気)
高齢や体の具合が悪い方は遠慮なく業者にお申し付けください。
家具があるからと畳替えを諦めることはありません。
畳屋以外の業者は必ず家具の移動を有料で行っていますので、少しくらい料金が掛かっても移動をお願いして気持ち良い新しい畳で過ごした方がお得ですよね。
事前に頑張りすぎて腰を痛めたりしないよう大きな家具は畳屋さんにお任せして、細かい物・壊れ物・貴重品だけ片付けておくと良いと思います。
またペットを飼育しているご家庭では必ず別の部屋に移動させておくか、繋いでおいてください。
畳の搬出・搬入の際は玄関扉を開けたままにしますので、逃げ出してしまっても責任を負いかねます。
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業