9月になっても相変わらず気温が下がらず、湿度もかなり高いので「ダニに喰われているのでは?」とお困りの方も多いのではないでしょうか?

一昔前に比べて『畳=ダニ』という印象は減ってきているように感じますが、それでもまだ「畳にダニがいるようで」というお問い合わせをよくいただきます。

実は畳店に多く寄せられる質問や苦情のほとんどが【ダニ】と【カビ】です。

しかしダニもカビも大量発生の原因は同じだったという事をご存じでしょうか?

今回はこの時期にお困りの方が多い【ダニ】に焦点を当てて解説していきますが、カビでも同じことが言えますので最後までご覧ください。

 

 

ダニでもカビでも大量発生のメカニズムは時季による3つの室内環境

最初に答えを言いますがダニでもカビでもたった3つの環境が整えば大量発生して当たり前です。

 

1 高温

冬などの寒い時季に虫を見る機会はほとんど無いと思いますが、春先から秋ごろまでは家の中でも普通に虫は活動しています。

これは温度が関係していて、高温の時期に虫は最も活発になります。

カビにも同じことが言え、冬場は成長や繁殖が低温に阻害されるため、夏場ほど気になりませんよね。

 

2 高湿度

ダニもカビも湿度の低い冬や環境ではほとんど繁殖しません。

湿度の高い地下や1階などの低層階に比べて2階以上では湿度が低く大きな差があります。

風呂場や水回りは高層階でもカビが生えることがありますが、乾燥している屋内ではほとんど見ることができません。

 

3 栄養分

ダニの場合は人間の皮脂、カビの場合は生える場所にある養分が餌となります。

ダニに関しては人間の皮脂などの栄養分を餌にするダニを捕食するダニがいて、そのようなダニ(ツメダニなど)が人間に喰いつきます。

よく「畳からダニが湧いた」という方がいますが、畳が増えたダニの住家になっているだけで、実際には枕・布団・ぬいぐるみの順にダニは多く繁殖しています。

最近では藁製の畳も少なくなり、ダイケンボードなどの新建材を使用した畳ではダニが潜り込むことも難しくなっていますため、安易に畳からダニがと考えるより、枕や布団を清潔に保つ必要があります。

具体的には丸洗いが一番良いのですが、難しい場合は太陽光で干したり掃除機による吸引が効果的です。

ダニはダニの死骸も餌にしますので叩いて飛ばしたり、掃除機で吸引することで人間の皮脂やダニの死骸も除去することが効果的になります。

 

因みにホウ酸塩には防カビの効果もありますので、ダニだけではなくカビの繁殖を抑制もしてくれます。

 

 

畳屋が勧める無害で半永久的にダニに効果がある防虫紙は、あの嫌な紙を食べるヤマトシミにも絶大な効き目

防虫紙のことは知らなくても『ゴキブリ団子』というワードをご存じの方は多いと思います。

ゴキブリ団子はゴキブリの好む誘発成分と【ホウ酸塩】という薬剤によって作られた害虫駆除薬です。

このホウ酸塩は哺乳類(人間)には食害しても塩と同程度の害しかありません。

一昔前に使用されていた防虫紙と違って揮発しないため、畳の下に敷いたり畳表(ゴザ)と畳の芯材である畳床(たたみどこ)の間に挟み込むことによって表面化しませんので、誤食というのも可能性がほとんどありません。

 

ホウ酸塩を使用した防虫紙は主に3種類あります。

畳表(ゴザ)と畳の芯材である畳床(たたみどこ)の間に挟み込むタイプでは不織布の【ダニシラズEシート】と紙製の【マイトスタット中敷き用】があります。

畳の下に敷いて使用するタイプは紙製の【マイトスタット下敷き用】があります。

この3つの種類はシックハウス症候群の方でも安心してご使用いただけます。

 

マイトスタット下敷き用

 

中敷き用は主に畳本体に浸透してダニを食害によって駆除します。

下敷き用はダニだけではなく紙を好んで食べる『ヤマトシミ』に効果があります。

古い障子や書物を食い荒らす害虫です。

ヤマトシミに関してはこちらを↓

 

ちょっと待って!防虫紙と言っても殺虫紙ではない理由と、害虫に対する効果とスパンとは

人体に影響が無く半永久的に効くダニや、紙を食べる害虫に効果的なホウ酸塩を使用した防虫紙ですが、全ての虫に即効果があるか?と言われると答えはNOです。

畳の下は部屋の中でも湿度が高い傾向にあるだけではなく、密閉性の高いマンションなどの高気密な部屋では、真冬でも虫が生き延びてしまう可能性が高い現状があります。

加えて定期的に掃除機を掛けるなど畳同士の隙間に落ちた皮脂などのホコリを除去していない場合、餌となる栄養源もありますので虫の住家としては好環境ですよね。

畳の下によくいる害虫としてはダニは勿論ですが先程の紙を食べる『ヤマトシミ』や、カビを食べる『チャタテムシ』他にも動物性の繊維を餌にする『ヒメカツオブシムシ』などがいます。

 

チャタテムシに関してはカビを食べるので住環境を整える(カビの生えにくい環境にする)ことにより、和室で防虫紙どうこうと言うよりも早く解決できると思います。

ヤマトシミは『マイトスタット下敷き用』が最も効果を発揮します。

畳の下だけではなくフローリングなどの床材の下に多くいる虫で、畳があるかないかはあまり関係ありません。

餌となる障子があるのは勿論ですが畳同士の隙間があると出入りがしやすいため、和室で畳の下によく潜んでいます。

この虫は紙を食べるのでマイトスタットのような防虫紙を食べ、勝手に死滅してくれます。

ヒメカツオブシムシは動物性繊維の衣類を食べているのでマイトスタットは即効性はありません。

しかし大量発生していたお客様宅に施工したのですが、2年後に畳の張り替えで見てみた所1~2匹しかいませんでした。

詳しくは分かりませんがホウ酸塩の食毒によって死んだ虫を食べたか、自身に付着したホウ酸塩が効果を発揮しているのかもしれません。

このヒメカツオブシムシは私の経験上、畳の下にいる確率が最も高い虫で約6割のご家庭にいると言っても過言ではありません。

ウール・カシミヤ・絹などの繊維を食べていますので、タンスやクローゼットに専用の防虫剤を併用することをお勧めします。

(シックハウス症候群の方は辞めた方が良い)

 

畳の下だけではなくフローリングの下にも空間はあり、そのような場所にはゴキブリや蜘蛛、1階ならムカデなども普通に暮らしています。

マイトスタットは即効性は無いものの、防虫紙を食べて死んだ虫を、ゴキブリなどが食べてという連鎖で害虫駆除に繋がります。

殺虫剤と違いますので時間は掛かりますが長い目で見れば安全性が高く、確実に害虫を減らす効果を期待できます。

 

食べられた防虫紙(虫の形跡ゼロ)

 

 

部屋の中に出る害虫は殺虫よりも予防が肝心!出る前に住環境を整える方法とは【カビにも効く】

虫やカビの好む環境とは最初に説明した通り【高温】【高湿度】【栄養分】です。

これらは普段のちょっとした行為によって条件が変わり、住環境が改善されることによって予防効果があります。

具体的には以下を参照してください。

 

・高温

春から秋口までは虫やカビが好む温度が続きます。

こればかりは天候が関係していますので人の力で出来ることは限られますが、一番効果的なのはエアコンの冷房です。

一日中という訳にはいきませんが、在宅中は部屋を冷やすだけでも就寝時などに喰われにくくなると思います。

 

・高湿度

晴れた日の換気により部屋の中に籠った湿気を外に出すことが可能です。

その際に扇風機を使用すると更に効果が倍増します。

雨の日や外も湿度が高い日は窓を閉めてエアコンを使用するのも効果的ですが、最も効果があるのは除湿器です。

湿度が高い日に稼働させると「室内がこんなに湿気っていたのか!」とビックリするほど水が溜まります。

普段あまりお使いにならない部屋や閉め切ることが多い部屋では除湿器を稼働してみてください。

 

・栄養分

布団や枕、畳には皮脂が多く付着しています。

ダニやカビの餌になるこれらは太陽光で干すのが効果的ですが、重量もありますし移動が大変ですよね。

究極は丸洗いですが畳に関してはそんなこと出来るはずもなく、少しでもそれらを除去するのであれば掃除機をご使用ください。

掃除機をかけるポイントはとにかくゆっくりと動かすこと。

これは畳でも布団でもそうですが、早く動かしても全然吸い取りません。

畳は目に沿ってゆっくりと動かすことにより畳自体が傷みにくく、縫い跡から床下の空気まで掃除機が吸い上げるので除湿効果もあります。

フローリングでも掃除を怠るとホコリがダニやカビの栄養源になりますので、定期的なお掃除を心掛けてください。