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古い和室で畳を踏むとフカフカしたり凹んで沈み込むことがあります。
多くの場合は畳が劣化して新調しなくてはならないと思いがちですが、和室が1階だった場合は畳の下にある床板が原因という事もあります。
主に1階は床下の湿気を受けて様々な劣化現象があり、中にはシロアリが床板を食べて脆くなっていたり、パーティクルボードが変形してしまう場合も。
しかし一番多い床板の劣化は合板ベニヤ(コンパネ板)が湿気によって剥がれ波打ち、更に留めてる釘が錆びて根太(ねだ)と呼ばれる木材の桟から剥離してしまう事例です。
酷い場合は根太が腐って落ちてしまい、こうなってしまうと畳が無い状態で床を歩くことはできません。
今回のご家庭では畳が割としっかりしていたため見積もり時には気付きませんでしたが、張り替え時にいざ剥がしてみると床板の合板ベニヤの上を歩くのが怖いくらいに劣化していました。
幸い根太には損傷なかったので、合板ベニヤの張り替えのみの床工事となりました。
波打った合板ベニヤ
畳を剥がして分かった、湿気によって劣化した合板ベニヤと錆びた釘
畳を剥がすと合板ベニヤを留めている釘の頭が錆びて茶色くなっているというのは1階では良くあることです。
錆びた鍵の頭
その状態が湿気によって更に悪化した場合は合板ベニヤが波打ちます。
合板ベニヤは薄い木の板を接着剤で何層にも重ねた構造をしており、湿度に弱く経年劣化で1枚1枚の接着が取れて剥がれてきてしまいます。
そうすると耐久性が著しく落ちてしまい、成人男性が上に乗るとたわんで、酷い場合は穴が開いて足を突っ込んだ状態になることも。
そこまでいかなくても錆びた釘が千切れて固定されていない状態は、床板の上を歩行するの怖いですよね。
このような場合は床板を新しい合板ベニヤに張り替える必要があることは、ご理解いただけたでしょうか。
剥離した合板ベニヤ
古い床板を剥がす手順と新しい合板ベニヤを張る前にしておくこと
まず1番初めにするべきことは養生です。
思っている以上のホコリと木くずが舞いますので、先にビニールなどで養生をしておくことを強くお勧めします。
襖や障子、壁などを養生する
既存の合板ベニヤと同じ厚みの物を購入し、古い床板を剥がす際にはバールがあると便利です。
釘が錆びて根太から離れていても全部がそうだとは限りません。
まだ釘の効いている箇所ではバールでてこの原理を利用して剥がしていきます。
差し込んだバール
かなり力がいる作業なので一人に床板を持ち上げてもらい、もう一人がバールで釘の打ってある箇所を剥がしていくと効率的です。
壁際など畳寄せと呼ばれる縁の木材があって床板を剥がせない場合は、丸鋸を使って床板を切り、後から根太を足す方法でも良いでしょう。
床板を剥がした後に残った錆びた釘は抜けないので、金槌(トンカチ)で上から叩き埋めてしまいます。
細い木の桟が根太、太い木が大引き
この際に根太が大引き(おおびき)と呼ばれる太い木材に固定されているかをよく確認してください。
根太が動く場合はビス留めして固定します。
併せて床下の状況も確認し、土間のように土がむき出しで湿度が高い状態であれば除湿剤や石灰を撒いたり、酷い場合は床下換気扇などの工事も必要となります。
特に田んぼからの宅地化や低い土地では床下に湿気が溜まりやすく、家の土台を痛めてしまう可能性があるためです。
採寸して切断し、根太の上に合板ベニヤを敷いてビス留めする
畳のサイズが1枚1枚違うように和室の大きさも各家庭で異なります。
買ってきた合板ベニヤはそのまま使用するという訳にはいかず、根太1本に合わさる面が互いに乗るように敷かなければなりません。
また柱のある箇所では切込みを入れて逃がすという作業も必要になります。
採寸し切断した合板ベニヤは根太にビス打ちして留めますが、この際に打ったビスが少ないと年数の経過で床板が浮いたり、合板ベニヤ同士が擦れて嫌な音が出ます。
今回のように茶室の場合は炉がありますので、既存の床板と全く同じように切断してビス打ちする必要があり、この作業は大変神経を使いました。
完成した床板
炉が切ってあり蓋になっている
まとめ
荒板(荒床)に比べて合板ベニヤは枚数が少ない分作業効率はとても良いです。
仕上がりや強度的にも、お客様に大変喜んでいただけました。
畳を表替えして完成した和室
このような作業は専門の知識と道具が必要になるため、実際にはプロに依頼した方が早くて安上がりだと個人的には思います。
しかしDIYが好きな方や、どうしてもご自分で施工しなければならない方には参考になれば幸いです。
慣れていてもよくあるのは怪我です。
ご自分で施工する方は怪我に気を付けて作業してください。
当店にご依頼していただく場合は必ず現調とお見積りを提出いたします。
近隣の方であればお気軽にお申し付けください。