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天然の藺草(いぐさ)を使用した畳であれば経年劣化で表皮が衣類に付着したり、太陽光による日焼けで退色し茶色くなるのは仕方がありません。
定期的に張り替えることがベストだと分かっていても費用の問題や忙しくて気軽に依頼できない方も多いのではないでしょうか?
また賃貸物件に居住している方では敷金の関係で、できれば退去時に畳替えをせずに引っ越ししたい方もいると思います。
今回はそのような悩みに最適なアドバイスと、敷物をして保護するメリット・デメリットについて解説していきます。
畳が傷んで皮むけしたり日焼けして茶色く変色するメカニズムとは?
まず最初に畳といっても昨今では『和紙製』や『樹脂製』といった業界では『化学表』と呼ばれる天然藺草以外の製品も増えてきました。
これらは基本的に変色しないので旅館や施設等に良く採用されていますが一般的には多くの場合、天然藺草製の畳表が使用されています。
天然藺草とは約2㎜程度の直径をした細長い葉と茎が一体化した植物を織り上げた茣蓙で、これを畳表(たたみおもて)といいます。
天然藺草の畳表は植物ですので自然に枯れていきますし、足や掃除機の摩擦で数年使用すれば表皮が剥がれボロボロになり、靴下やズボンなどの衣類に付着して困った方も多いのではないでしょうか。
では退色したり傷みやすい天然藺草じゃなければ良いという風に考ええてしまいがちですが、実は天然藺草の畳には日本の気候に順応している点や健康面などで昔から知らず知らずのうちに支持されてきた経緯もあります。
天然藺草の凄い効能についてはこちら↓
樹脂製の畳表についてはこちら↓
畳を日焼けや傷まないように長持ちさせるのには、上に敷物を敷いて保護するのが一番?ではその素材は何が良いの??
30年近く畳屋をやっていますとありとあらゆる素材でできた敷物が畳の上に乗っかっているのを目撃します。
一番多いのは『上敷き(うわしき)』と呼ばれる茣蓙で、畳の上に被せるように敷くことにより茣蓙が傷んでも下の畳を守ることができます。
一言でいうと畳表の二重ですね。
次に多いのは絨毯ですが高価な物ではなく比較的安価で購入できるタイプです。
高級品の絨毯であれば和室に使用せず、居間など板の間の上に敷きますからね。
そして最近増えているのは『ウッドカーペット』と呼ばれるフローリングマットで、使用しない時は丸めることができます。
畳が傷んだり日焼けしないように上記のような敷物を畳の上に置いて保護する方が多い一方、そのような保護されているはずの畳がなぜ当店で張り替えの依頼を請けるのでしょうか?
多くの賃貸物件居住者が陥りがちな罠も含めて次項で解説していきます。
賃貸物件での畳替えについてはこちらに詳しく載っています↓
畳の保護目的で茣蓙や絨毯・ウッドカーペットを敷いたけど、転居時に結局敷金を徴収された理由とは
ご存じない方も多いのですが和室の畳といっても実は1枚1枚サイズが違い、6畳だからと『6畳用』の上敷きや絨毯・ウッドカーペットを購入しても、ご自宅の和室サイズぴったりに納まるとは限りません。
多くの場合は真四角だと思っている部屋でも変形しており、和室のサイズよりも大きい敷物を購入した場合は納まりませんし、小さい場合は端の方で畳がむき出しになってしまいますよね。
そのためむき出しになった畳は日焼けしたり傷んだりして張り替えの対象となり、敷物が覆い被さっていた箇所との色違いにより張り替えせざるを得なく敷金が徴収されてしまうのです。
厳密にいうと敷物を被せていても多少は退色しますので、隙間なく畳を保護してもオーナー(大家)さんによっては敷金が発生します。
畳を保護しようと上に置く敷物は強烈なデメリットもあるって知ってましたか?
ほとんどの畳屋が畳の上に敷く上敷きや絨毯などに対して「敷かない方が良い!」と言うのには訳があります。
それは張り替えされなくて困るというよりも、敷物によるデメリットをよく知っているからなのです。
まず『上敷き』『絨毯』は光は通さないので畳の退色はある程度防ぎますが、織物という性質上ホコリの中でも微細な塵が通過して敷物と畳の間に堆積します。
これはダニの餌になってしまうため定期的に剥がして掃除機を掛けないとダニの温床になってしまいます。
また敷物に圧迫された畳表は藺草が潰れて痕になり、色味が退色していなくても凹凸がハッキリと出てしまいます。
その点ウッドカーペットやチェアマットとして使用するカーペットタイルは微細な塵を下に浸透させませんが、代わりに畳が呼吸できなくなり湿度を保持してしまいカビの原因になりやすいです。
表面上は綺麗でも、その下はカビだらけという事も・・・。
もし敷物を敷いて畳を保護したいのであれば、それなりのリスクも背負わなければいけないという事ですね。
難しい選択になりますがご自宅の環境に合わせて、過ごしやすい和室ライフを楽しんでいただけたらと思います。
東京都北区で四代110余年
有限会社八巻畳工業
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