障子くらい自分で張り替えできるから、と年配の方ならご自分で貼った経験を元にDIYする人も多いですよね。

最近ではホームセンターで簡単に道具から紙まで揃いますし、種類も豊富でチャレンジしてみようという方も多いのではないでしょうか。

しかしいざ自力で障子の貼り替えをしてみると、あれ?なんだかシワっぽい・・・。

そんな経験ありませんか?

今回は障子を貼る際のシワになりにくいコツと、できてしまったシワの伸ばし方について解説していきます。

 

年末は障子貼り替えの季節

 

 

そもそもなぜ障子の紙は自分で貼るとシワができてしまうのか

皆さんが1度は障子を貼ったことがあれば経験する、貼った直後の波打ったようなシワ。

実はこれ、プロが貼っても最初からピンとは張っていません。

フワフワ波打ったような現象は貼りたての障子にある特徴で、ロール状にきつく巻かれた障子紙が平面に貼られることにより、一時的にシワっぽくなっているだけだったりします。

紙は吸水性と吸った水分を放出する性能がありますので、外気に触れて繊維が緩むことは勿論、密着していた状態から障子の組子(桟の部分)に乗っかっている状態では自重により弛むという訳です。

そのため貼ったばかりの障子紙がピンと張っていなくても大丈夫。

障子を立てて日陰でゆっくり乾燥させてみてください。

そのうちに張りが戻ってきます。

 

シワっぽい貼りたての障子

 

 

障子の四隅にできたシワが直らない!それならシワができないように貼ったら良いのでは?

貼り終わった障子がしばらくすると貼りたてよりは張っているものの、なぜか隅の方だけシワが消えない。

そのような状況は多くの方が経験しているのではないでしょうか。

ネットで障子のシワを消す方法を調べると霧吹きすれば直る!と伝家の宝刀のように出てきます。

それならば貼り終わった障子全てに霧吹きすれば完璧!

いやいや、ちょっと待ってください。

そんな魔法みたいな直し方、リスクもあると考えた方が良くないですかね?

 

霧吹きに関しては後述するとしまして、まず自分で張り替えるならシワのできにくいように貼る。

これが1番だと思います。

DIYで障子を貼る際の手順や必要な道具などは下記のリンクを参照してください。

ではシワのできにくいように貼るコツ。

それは『貼った直後からシワがほとんど無いように貼る』です。

具体的に言うと、まず障子の中心から外側に向けて接着面を指で撫でます。

そうすることにより紙が外側へ引っ張られていくので中央のシワができにくくなります。

そして糊代の外側で紙をカットします。

次に切り口である外側の紙を垂直方向に引っ張りながら指で圧着していきます。

この時に重要なのはここまでの工程を素早くこなして糊が乾いていないということです。

糊が乾いてしまうといくら引っ張っても接着しているので動きません。

生乾きの内にする必要があるのです。

ここまでで極端なシワが無ければ大成功です。

 

貼った直後

 

3時間後

 

 

【メリット】自分で障子を張り替えてシワができても、霧吹きを使えばシワが伸びるって本当?【デメリット】

 

100均で買えるアイテム

 

結論から言うと、ある程度は霧吹きでシワが伸びます。

しかしプロは霧吹きを使用しません。

その理由は紙の性質にありますので、まずは障子紙の性質と霧吹きのメリット・デメリットについて。

前述したように障子の紙は繊維で出来ていますから湿度が高ければ膨張してふやけますが、湿度が低ければ逆に伸縮してピンと張ります。

この現象を利用してシワのある部分に霧吹きで水分を足し、一度膨張してふやけさせた紙を乾燥させると霧吹き前より伸縮してシワが消えることがあります。

このためシワが大して無くても仕上がった障子に霧を吹いてピンと張らせる方がいますが、これは結構リスクがあるってご存じでした?

まず貼った障子の糊が完全に乾く前に霧吹きしてしまうと、急激な伸縮により接着面が剥がれてしまいます。

では糊が乾いてから霧を吹くのはどうでしょう?

紙は湿度の高い時と低い時で水分を吸排出しますので、急激に濡れると乾いた時に一気に伸縮して必要以上に縮みます。

紙が全体的にギュッと縮むことにより組子(中央部分の桟)が狂いやすくなるだけではなく、障子本体が反ってしまうということもあります。

障子は呼吸することにより自然と張っていくものですので、部分的なシワが目立って気になる場合などは仕方がありませんが、全体的に霧吹きで水分を噴霧するなどは止めておきましょう。

する場合でも遠目からほんの少し噴霧し乾くまで様子を見て、取れなければまた少し噴霧するなど時間をかけて少しずつ様子を見ることをお勧めします。

とは言え霧吹き後に乾燥して伸びたシワは、雨や梅雨時の高湿度で再び再発することが多いです。

表具師などのプロが霧吹きを使用せず自然乾燥を促すのには理由があったんですね。

時々大手の張り替え業者(チェーン店)が得意げに「シワには霧吹きをしましょう」などとネット上で書いていますが、そんなメリット・デメリットを説明しないような業者には依頼しない方が無難だと思います。

 

最後に。

霧吹きは対処療法として使用できますが万能ではありません。

特にレーヨンが混ざっている破けにくい障子紙などは霧吹きすると普通の紙以上に張ってしまい、太鼓のようにしゃべった声が反響して気になるほどだったりもします。

自分で障子を張り替えるのは最も安上がりですが、長い目で見てちゃんとしたものをご希望の方は是非プロにご依頼ください。

 

 

東京都北区で四代110余年

有限会社八巻畳工業

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