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一般的には手に入りにくいですが、プラスチックで障子紙を挟み込んだ耐久性重視の『ワーロンシート』という障子紙があります。
外側に来る素材がプラスチックなので糊では貼れず、専用の両面テープで貼り付ける特殊な障子紙です。
今回は普通サイズの障子ではなく特別に大きなサイズの障子にワーロンシートを貼る方法を解説していきます。
水拭きできる障子紙!?ワーロンシートの特徴と最適なシチュエーションとは
前述のようにワーロンシートは表裏がプラスチック製で非常に耐久力に優れています。
構造は障子紙を透明なプラスチックで挟み込んで圧着してあるため、利点としては以下のような点があります。
・日焼けしにくい
紙自体が剥き出しになっていないため、太陽光による日焼けや、空気呼吸をしないので汚れを吸着しません。
・水拭きできる
表裏のプラスチックは撥水しますので、汚れが着いても水拭きでき洗剤で拭いても影響を受けません。
・耐久性が抜群
猫の爪で引っかかれても傷が付きにくく、ペットに突撃されても破けません。
また、幼児や高齢の方が誤って手をついてしまっても破けないのは良い点ですよね。
上記がワーロンシートのメリットになりますが、デメリットも住環境によっては発生します。
以下は普通の障子紙に比べてワーロンシートが劣っている点です。
・部屋の空気や湿度を吸着しない
お部屋の中に通常の障子がある場合は室内の空気を紙が吸放出する際に、煙などの有害物質や高湿度の湿気を吸着してくれる作用があります。
しかしプラスチック製のワーロンシートは、このような機能がありません。
和室は障子紙だけでなく畳や襖も湿度コントールして、部屋内の湿度を一定に保ってくれる機能がありますが、障子でその機能が出来なくなるという事です。
・結露のある窓には不向き
冬場に温度変化で窓が結露すると敷居(下側のレール)が水分を吸い、更に障子本体の木がその水分を吸ってしまいます。
そうなった場合には吸った水分が徐々に上へ上り、ワーロンシートに届くとカットした切り口から更に水分を吸ってしまいます。
この水分は障子本体の木を経由しているため灰汁(あく)という茶色い水分に変化し、それを吸ったワーロンシートのプラスチックに挟まれた障子紙が吸い上げ茶色く変色してしまうのです。
・施工費が通常の障子紙に比べて高額
これは材料代が高いのと貼り付けの施工に手間が掛かるので仕方のない事ですが、耐久性という面で見ればランニングコストが非常に良いので、定期的に貼り替えををするご家庭であれば逆に安上がりになるかもしれませんね。
結果的には使用するお部屋の用途によっては最適です。
例えばペットを飼っているご家庭や、幼児・高齢者と同居のご家庭、頻繁に障子を貼り替える予定の無い方には向いている商品だと思います。
柄や色などについてはこちら↓
幅広や丈長など特注サイズの障子にワーロンシートを貼る時の手順とコツ
今回ご依頼の障子は幅広の縦繁(たてしげ)障子で、丈の長いワーロンシートはあるのですが、幅広が手に入らなかったため横三列に貼って仕上げました。
通常の障子紙は丈方向と幅方向変えて貼るようなことはできるだけしません。
理由は繊維の向きがあるのと、楮の和紙では光に透かすと薄っすら縦に線が入るので横方向には不向きです。
ワーロンシートは縦横の基準はありませんので幅方向に貼りましたが、3枚貼るのにどの順番でも良いという訳ではありません。
このような場合は必ず障子本体の下から貼っていきます。
一番下に来る部分から貼る
次に貼るのは3枚であれば中央部分、もし4枚なら下から二段目を貼ります。
次に貼るのは中央部分
最後に一番上に来る上段を貼って完成させます。
このような順番で貼ることにより『チリ落とし』といって上部に来る紙の切り口にホコリが溜まりません。
逆の順序ですと切り口である二段にホコリが溜まりますよね。
正面からは継ぎ目が見えない
ワーロンシートを使用した障子紙をDIYするより業者に依頼した方が良い理由とは
あまりホームセンターなどでは売っていませんが素人の方でも、ワーロンシートはネットで簡単に手に入ります。
柄やカラーも選べるのでご自分の好みに合わせたワーロンシートを購入し、DIYして格安に貼り替えすることも可能です。
しかし、DIYするにはいくつかの注意点があります。
ワーロンシートならではの施工しにくい点もありますし、そもそも時間と手間の労力に見合うのかも検証していきましょう。
・材料の仕入れでミスをすると安物買いの銭失いになるかも
まず初めて自力でネット通販する場合には既存の障子の大きさや材料がどれだけいるのかを調べなければなりません。
通常の畳一枚分くらいのサイズや、それより小さいサイズであれば問題ありませんが、丈が長い・幅が広いサイズになると無駄になる部分も多く枚数が多いと、その計算も面倒ですよね。
更に専用の両面テープがどの程度必要かも分かりにくいと思います。
足りなくて追加で購入したら送料が掛かる上に貼りたいタイミングで貼れないなんてことも。
・ワーロンシートはとにかく滑る
冗談みたいな話ですがワーロンシートはリニアか?ってくらいに良く滑ります。
滑ると何が困難かというと、まず障子本体の裏側にある糊代(紙じゃくり)部分に合わせてワーロンシートをカットしますが、これがまた滑って固定しにくいのです。
私の場合は大き目のクリップで固定してから切るので良いですが、持っていない方はツルツル滑るワーロンシートを規定に合わせて切るのだけでも、相当な苦労をすると思います。
また、滑るので定規で抑えてカッターを使用する場合でも、厚みがありますので簡単には切れず、力が入った上に滑って怪我をしやすいです。
・両面テープを貼る作業に時間を取られる
普通の障子であれば刷毛で糊を塗って紙を貼りますが、ワーロンシートは両面テープでしか貼れません。
そのため両面テープを貼って剥がして貼るという作業に手間が掛かります。
今回のような3枚貼りの場合はサイズに合わせて3枚共に切る手間もありますので大変ですよね。
手順としては、ワーロンシートを切る、両面テープを貼る、ワーロンシートを障子の上に乗せる、下桟のテープだけ剥がして貼る、縦桟のテープを剥がす、横桟のテープを剥がして貼る。
このように手順が複雑で初めて貼る場合は時間を浪費しますし、失敗のリスクも高めです。
必要なサイズのワーロンシートを切って障子の上に置く
下桟(幅広の場合のみ下から1段目上部横桟も)のテープと縦桟(組子)にテープを貼る
上部をクリップで固定して
下桟のテープと縦桟のテープ下部だけ剥がす
ワーロンシートを戻して圧着する
ワーロンシートを丸めて縦桟のテープを全て剥がす
ワーロンシートを戻して圧着する
上記を三回やる
いかがでしょうか?
結構面倒だと思います。
ご自分でワーロンシートを貼る場合は、材料と時間に余裕を持って臨んでください。
もし難しそうだと感じたり、やってみて大変だと思いましたら迷わずプロに相談しましょう。
東京都内であれば当店にご相談ください。
施工実績が多いので、お部屋の住環境に合わせてプレゼンさせていただきます。