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いつ張り替えたか分からないけど相当な年月が経っていて、畳の上でくつろぐと衣服にゴミが付着する・・・。
そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
また、それをきっかけに畳替えしたいと思うけど、まず何をどうして良いか分からない。
そもそも畳を長持ちさせる方法は無いのか?
今回はそんな皆さんの疑問に答えていきます。
畳が傷む・傷みやすい原因とメカニズム
畳は藺草(いぐさ)という細長い植物を織り込んだ畳表(たたみおもて)というゴザが表面に被さっています。
この畳表にはランクがあり藺草の本数が多く織り込んであればあるほど耐久性は増します。
また、長い藺草だけを選別して織り込んだ畳表は穂先と根を避けた真ん中の良い部分だけを使用できますので、高級ですが耐久性は高いと言えます。
とは言え藺草は植物ですから歩行での摩擦や物理的な衝撃によって傷み擦り切れてきますよね。
具体的には細い藺草の表皮部分が剥がれて灯芯と呼ばれる中身が剥き出し状態になります。
この時に剥がれた表皮がゴミのように衣類に付着する訳です。
藺草の切断面
表皮が剥がれて剥き出しになった畳表
他に畳の縁が擦り切れて張り替えしなければならないということも。
現在主流の化学繊維製であれば耐久性は高いのですが、綿でできた畳縁の場合は安価なものほど摩擦に弱く擦り切れて剥がれてしまいます。
その場合は人の出入りが多い和室なら化学繊維の縁に変える方法が最も適していると言えます。
擦り切れて破れてしまった綿製の畳縁
天然植物の藺草は日焼けによって枯れ黄色から茶色に変色していきます。
よく勘違いしている方がいますが日焼け=劣化とは限らず、日焼けしても摩耗による劣化が無ければ茶色いだけで表皮が衣類に付くことはありません。
畳が傷んで表皮が剥がれ衣類に付く大きな原因は、歩行(ペットの爪を含む)による摩擦と掃除機による摩耗です。
和室の出入り口付近では日常よく踏み歩く箇所ですので痛みが早く、壁側の畳はあまり傷んでいないのではないでしょうか?
また、ご家庭で掃除機をこまめにかけるという事は大変良い事なのですが、掃除機のヘッド部分を素早く動かすとローラーの摩擦によって畳が傷みます。
和室の壁側も畳が傷んでいる場合は掃除機のかけ過ぎを疑ってください。
藺草の表皮が剥がれてささくれが出るようになると、余計に掃除機で吸い取りたくなる気持ちは分かりますが実は逆効果で、すでにその畳は張り替えの時期がきているということになります。
もう限界!でも畳を新しくするのにまず何からしたら良い?気になる金額(値段)と耐久性の違い、日数とは
傷んだ畳は新しくしなければなりません。
でも畳店に依頼したことのない人では非常にハードルが高く、まず何から手を付けて良いか分からないと思います。
簡単に説明すると畳を新しくする施工方法は3種類あります。
1 新床(しんどこ)新調
これは畳の本体ごと全て廃棄して新しい畳に入れ替える作業です。
畳を踏んでフカフカしたり濡らしてしまった場合などに有効です。
概ね20年以上経過した畳で補修しても平らに仕上がらない時に新調します。
価格は3種類の施工の中では1番高額で処分費も含めると1畳で約20,000円~80,000円程度の幅があります。
2 表替え
畳の芯材部分はそのまま再利用して表面の畳表(ゴザ)と畳縁(たたみべり)を新しく張り替えます。
一番多いパターンの施工で芯材の畳床(たたみどこ)が特に問題なく、前回の畳替えから5年以上経過した畳は表替えになります。
価格は中国産・国産・樹脂や和紙の化学表によって違いますが、一般家庭でしたら1畳約9,000円~60,000円程度です。
賃貸用などは安いですが耐久性に乏しく張り替えの頻度が高いので国産の、ある程度良いものをお勧めします。
3 裏返し
芯材の畳床をそのまま活かして表面を覆ている畳表(ゴザ)だけを引っくり返して新しい縁に付け替える作業を言います。
前回の畳替えから5年以内であれば畳表の裏側はそれほど日焼けしていませんので、未使用の裏面が表側になり綺麗な状態をキープすることができます。
注意点として水分(ペットのオシッコなど)をこぼした畳表は、裏返してもそのまま染みとして表面に残ります。
日焼けしていると目立たない染みも、裏返すとかなりくっきりと出てきますので、その場合は表替えをした方が良いでしょう。
裏返しの価格は約5,000円~6,000円ですので最も安価に施工できるタイプと言えます。
畳替え3つのパターンを詳しくは下記を参照ください。
畳替えの日数に関しては基本的に10畳程度でしたら即日納品可能です。
とは言え施工内容によって多少違いますので、詳しくは下記を参照してください。
その他、当店ではお客様の気になることをリスト化してブログ記事としています。
雨の日の施工や下見・見積もりなど、よくある質問は下記を参照してください。
擦り切れた古い畳と表替えをした畳の違い
既存の畳をできるだけ長持ちさせたい!畳が傷みにくくなるコツとメンテナンス方法
畳の表皮が皮むけしてささくれ立ち衣類に付着するようになってからでは新しくするしか方法がありません。
しかし、その手前であれば大幅に畳の寿命を延ばすことが可能かもしれません。
まずこれ以上畳を痛めないための日常メンテナンスをご紹介いたします。
1 掃除機は畳の目に沿ってゆっくりとかける
忙しい日常で掃除機は特に早く終わらせたい家事の一つ。
でも和室だけは時間を掛けてゆっくりと掃除してください。
なぜならそれをすることによって大変なメリットがあるからです。
実は掃除機を早く前後に動かしても吸引されるゴミは多くありません。
逆にヘッド部分のローラーによる摩擦で畳表は傷むばかりなのです。
その理由に掃除機の構造上押し出すよりも引いた時の方が多くのゴミをすいとれるという理由があります。
また、ゆっくりと動かすことによって畳本体の逢着穴から床下のホコリまで吸い上げることができますので、和室に限って言えば掃除機を早く動かすことは全く何のメリットもないということになります。
2 特に傷む個所では保護できる敷物を使用する
畳屋としては全く推奨しませんが頻繁に人の出入りする付近や転がしたり引きずるタイプの椅子があるところでは、畳を保護するゴザやタイルカーペットなどの敷物も有効です。
なぜ畳屋が推奨しないかというと絨毯などの敷物を敷いたままにしておくと、畳と絨毯の間にホコリが溜まってダニが発生しやすくなるからです。
特に傷む個所では部分的に保護することをお勧めします。
3 正しいメンテナンスをする
昔の人が畳を雑巾で水拭きしたり、ホウキで茶殻を使用して掃き掃除したのは建築構造上隙間風があったのでカビが生えにくかったという理由があります。
現代の気密性が高い建築様式では畳に水分を与えてしまうとカビの発生率が高く、良かれと思ってやったことが裏目に出ることがあります。
特に地下や一階の和室では湿気が多いため注意が必要です。
そのため普段のお手入れは掃除機をゆっくりかけるということを心掛けてください。
また、晴れた日に換気して湿度の高い時季にはエアコンなどで除湿するのも良いです。
藺草が摩耗により剥がれ縦糸が剥き出しに
まとめ
以前は天然の藺草製の畳表しかありませんでしたが、現在では樹脂製・和紙製・塩ビ製など耐久性が高く日焼けしない畳表も多くあります。
天然藺草には天然の良さがありますが使用する環境によって耐久性を重視するのであれば、上記の素材も有効であると言えますよね。
何にしても使用する頻度と環境によって床材としての畳は素材をよく選ぶという事が大事になってきます。
取り敢えず何でもよいから綺麗にしたい!と安価な施工を依頼すれば畳の寿命も縮まりますし、普段から適当なメンテナンスをしていれば劣化が早まります。
定期的に変えるのは費用面でも時間的にも大変かもしれませんが、畳を新しくした時の感動はそれ以上の価値があります。
できるだけ長持ちをさせて、いざダメだと思ったら早めに畳替えをしてみてください。