【縁無し畳】と【琉球畳】は同じように思っていても全く別物である説明は過去何度もしていますので、気になる方は詳しく書いてある下記のリンクをご覧ください。

 

 

簡単に言えば素材が『七島藺草(しちとういぐさ)』か『普通の藺草』かの違いであり、縁がないからといって【琉球畳】とは限らないということです。

今回のお客様宅には元々中国産の七島藺草で織られた琉球畳が入っており、畳床(たたみどこ)と呼ばれる畳の芯材部分は傷んでいませんでしたので『表替え』をご提案させていただきました。

 

 

琉球畳の表替えって価格表に無いけど高いの?安いの?気になる値段と張り替え作業について

琉球畳に限らず縁無し畳は基本的に高い相場になっています。

理由は機械化が進む昨今、大型ミシンの導入で縁の付いた畳はそれほど手間が掛からないのですが、縁無しは{温水に浸ける}{筋を付ける}{折り曲げる}などの手作業による工程が多く価格は安くありません。

また材料自体も一般的な畳表ではなく{目積表}と呼ばれる天然イ草を細かい目幅で織った物や、樹脂製や和紙製など七島藺草でなくても仕入れ原価が高い素材を使用しています。

 

表替えの場合は既存の畳床(畳の芯部分)を再利用しますので新調するより僅かに安くはなりますが、基本的な手間はほぼ同じか場合によっては表替えの方が補修が多くなってしまうことも。

そのため表替えは新調よりも価格がほんの少ししか安くありません。

 

 

【メリット】元々琉球畳の半畳市松敷きなら、既存の畳床を生かして表替えも可能です【デメリット】

今回のお客様宅は元々既存の琉球畳が敷いてあり、畳床も傷んでいませんでしたので表替え作業をさせていただきました。

 

小上がり4.5畳間に9枚の半

 

既存の中国産と今回施工した国産(大分県産)の差は大きく分けると下記のようになります。

 

・中国産のメリット

1 七島藺草の本数が多く藺草同士が密接していて開きにくい

2 見た目がきれい

3 安価であった

 

・国産のメリット

1 国内基準の安全な農薬が使用されている

2 香りがとても良い

3 生産者がはっきりとしている

 

・中国産のデメリット

1 農薬の基準が曖昧

2 そもそも現在流通していない

3 近年では国産とほとんど変わらないほど高価であった

 

・国産のデメリット

1 年間2000枚弱の流通量で入手困難であるため高価

2 半自動織機のため藺草の本数が多く入れられず、激しい運動などで隙間ができやすい

3 見た目にバラツキがある

 

以上のようにメリット・デメリットはお互いにあるのですが、大きな問題点は現在中国産は生産を辞めてしまい流通していないということです。

これは国産の引き合いが増えますので、今後益々価格の高騰や入手困難による施工日程の延長が予想されます。

 

素材の荒々しさの中にある繊細な造形

 

 

 

今ある6畳の畳を琉球畳にして半畳の市松敷きにしたいのだけど、この畳使えますか?

良くある質問なのですが結論から言いますと『半畳の市松敷きに変更するのであれば新調しかない』という結論に至ります。

理由は畳のサイズは1軒ごとに1枚1枚違うため、藁製の場合は特に畳床の方向(向き)を90度変えられないためです。

分かりにくいですが畳には長手と短手側によって藁の配置が違うのです。

余計分かりにくいですね・・・。

辞めておきましょう。

 

また、もう一つ大きな理由は既存の畳床を生かすには、畳表を折り曲げて側面側にくるゴザの厚み(約3㎜)×2の分を小さくカットしなくてはならないのです。

この6㎜が厄介で大きく切るのは問題ないのですが、少しだけ切り落とすというのが畳はとても難しい作業になります。

これは既存の畳がピッタリ納まっていればまだ良いのですが、隙間があったりしますと面倒なことになります。

全然意味がわからないと思いますのでまとめますね。

既存の畳床を生かして1畳を半畳の縁無し市松敷きにするのは、不可能ではありませんが仕上がりも悪いし、かえって高い買い物になる可能性があるということです。

 

以上のように半畳の市松敷きをご希望のお客様は、既存の畳が半畳の縁無しであれば表替えができますし、1畳で敷いてある畳であればそれを破棄して新床(しんどこ)で依頼した方が良いという話でした。

 

 

東京都北区で四代110余年

有限会社八巻畳工業

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