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和室はくつろぎの場として日本人には馴染みが深く、ちょっと休むのにゴロンと寝転がって休める良い床材ですよね。
しかし起き上がって衣類を見たら「服にたくさんゴミが付いてるよ」と言われたことがある方も多いのでは?
そのような畳は経年劣化で表面の畳表(ゴザ)が剥がれ落ち、衣類に付着してしまっています。
元々畳の藺草(いぐさ)は植物のため、歩行などの摩擦により傷むと剥がれて細かい毛羽やささくれとなり衣類に付いてしまうという理由です。
今回は畳を長い年月できるだけ傷まないように保持する秘訣と、やってはいけないメンテナンス方法について解説していきます。
普段何気なくやっているけど、畳が傷みやすい理由がこんなにあるのをご存じでしたか?
当然のことですが使用頻度の高い和室と、使用頻度の低い和室では畳の傷み具合に大きな差が出ます。
普段使用していない和室の畳は日焼けこそしますが、ささくれや毛羽立ちが出来にくく長持ちしている印象を受けますよね。
しかし和室と一言で言っても出入り口の良く通る箇所に敷かれた畳は最も傷みやすく、居住者の歩行にによって毎日踏まれて摩擦が続いていると擦り切れやすいというのは簡単に想像できると思います。
ではどのご家庭でもそうかと言うと、実は頻繁に利用していても、あまり傷んでいない畳もあります。
基本的に畳にはランクがあり安価な物から高級品まで多種多様です。
安い畳は藺草の本数が少なく、また藺草自体が短く細い物を使用しているため傷みやすい傾向にあります。
寺社仏閣などで使用される長くて太い藺草を使用した畳表は強靭で、良く人が通る所でも極端に傷んだりはしていません。
中国産か国産か、でも違いはあるので耐久性を求めるのであれば国産をお勧めします。
それを踏まえて良く傷みやすい理由のベスト1を除いた2位から5位までを発表していきます。
第2位
・出入り口の良く踏み込む個所にある畳
これは前述の通り使用頻度が高ければそれだけ傷みやすいという理由です。
第3位
・畳に凹凸がある
畳本体の素材によりますが藁(わら)製の畳床(たたみどこ)は使用年数が増えると、藁を縫い締めた糸が緩んだり切れたりして膨らみ凹凸が表面に出てきます。
凹んだ部分よりも出っ張った部分の方が足が良く当たるので、その箇所だけ摩耗し擦り切れやすくなります。
第4位
・ペットの爪
こちらは飼育しているご家庭のみとなりますが、後で解説する1位に匹敵するほど畳が傷む理由になります。
犬猫の走り回る座敷では間違いなく人間の脚よりも傷みやすく、せっかく張り替えてもすぐに傷だらけにされてしまうなんてことも。
ペットにはペット用の畳表もございますので、詳しくはお問い合わせください。
第5位
・椅子などの座具
通常和室で椅子に座ることはあまりありませんが、近年ではテレワークによるパソコン用デスクチェアを和室で使用する方も多くいます。
このような椅子は体重の掛かった車輪により非常に傷みやすく、保護材を敷かないとすぐに畳表がダメになります。
畳の上でも傷みにくいデスクチェア用のチェアマットは下記のリンクを参照してみてください。
番外編
・ガスファンヒーター、石油ファンヒーター
私の経験上、床置きのファンヒーターの温熱吹き出し口付近は、他の畳に比べて傷み具合が特別なことが多いです。
理由は推測すると熱と風による過度な乾燥だと思います。
藺草は植物ですから極度に乾燥すると耐久性が落ちてささくれや毛羽立ちの原因になりやすいです。
これは国産と違い石炭乾燥で一気に水分を抜いた中国産の藺草が耐久性に乏しい現状とマッチします。
毎日やっている人は要注意!最も畳が傷みやすい、その日ごろのメンテナンスとは
ここまで2位から5位そして番外編まで解説してきましたが、1位はどのご家庭でも当てはまる日ごろから当たり前にやっているメンテナンスが原因でした。
その理由は【掃除機】です。
ヘッドのローラーが曲者
最初に言っておきますが掃除機をかけることは非常に良い事で、畳のメンテナンスと言う面では合っています。
しかしその掃除機のかけ方に問題があることを多くの人は知りませんよね。
「そんなの畳の目に沿ってかければ良いんだろ?」と言われそうですが、更に掃除機を使用する上で絶対にやってはいけないことが二つあります。
正しい向き
間違った向き
畳の目に沿わず掃除機をかけた結果
一つ目は絶対に【早く動かしてはいけない】ということです。
掃除は素早く終わらせたいという気持ちは痛いほど良く分かります。
しかしフローリングの上などを掃除する時はいくらでも早く動かして良いのですが、畳は植物素材のため摩擦に弱く素早く動かすという事は掃除機のヘッド部分にあるローラーを擦り付けて、摩耗により畳を傷つけていることになります。
二つ目は上記と全く同じ理由で【掃除機本体を強く引っ張って移動させてはいけない】ということです。
ハンディータイプの掃除機は関係ありませんが、従来の掃除機では本体から出たホースの先にあるノズルで掃除しますよね。
あの本体には両側に大き目の車輪があります。
つい急いで掃除をしていると本体部分をホース越しに強く引っ張ってしまうのですが、進行方向に向いていない車輪が引っ張られると車輪が転がらずに摩擦で畳を傷めます。
本体の車輪
ヘッドの動きの速さもそうですが、毎日同じ動作を繰り返した場合、畳に与えるダメージは蓄積され傷むスピードは加速されることになります。
掃除機本体を強く引っ張らずにヘッド部分をゆっくり動かすと、痛みだけではなくこんなに良い効果が!
本体部分を強く引くのは摩耗の関係で良くないことですが、掃除機のホースが伸びて歪になるという悪循環もあります。
ホースが長くなるとそれだけ吸い込む空気量も多くなりますので吸引力に差が出てきます。
また、ヘッド部分を早く動かすと本来吸引できるゴミを取り逃がします。
掃除機は押し出した時よりも手前に引いた時の方が吸引力が高いそうです。
ゆっくりと引く動作により畳自体にある縫い跡(穴)から床下のゴミや空気を吸いだして、普段掃除できない畳の下の衛生環境や湿度にまで大きく作用するので、傷まないようにゆっくり動かすことにはメリットしかありません。
畳の下に湿気が溜まると虫も出やすくなりますし、1階の和室ではカビなどの問題も発生しやすいので、ゆっくりと掃除機で吸うことを強くお勧めいたします。
畳のダニ・カビについてはこちら↓
https://yamaki-tatami.com/20240925_67576/