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和室に限らず一般的な部屋は正方形か長方形の形をしていますよね。
しかし立地などの条件により隣り合う2面の壁が鋭角になっていたり、デザインを生かすために敢えて5角形や6角形の部屋も存在します。
一昔前であればこのような変形の部屋には4角形が基本の畳は納まりませんでしたが、畳屋の創意工夫により近年では「こんな形の畳が!?」と驚かれるような例も出てくるようになりました。
しかしまだまだ変形の畳は一般的ではありません。
今回はそのような変形した和室に変形した畳を敷くための『寸法取り』を研修にて学んできました。
畳のサイズって全部同じじゃないの?住んでいる地域だけではなく1部屋ごとに和室の大きさが違う理由
年配の方で知っている方はよく「関西は畳が大きくて東京は小さいんでしょう?」とお声掛けいただきます。
その通りで関西の畳は『京間(きょうま)』と呼ばれ東京などの『関東間(かんとうま)』と比べて1畳の丈方向では約15㎝も大きくできています。
それだけではなく和室には柱の凹凸や畳寄せ(たたみよせ)と呼ばれる木枠の狂いなどで正確な四角形ではありません。
結果、各家庭で和室の大きさは異なるため、そこに敷き詰められる畳も1枚1枚オーダーメードということになります。
畳店では畳を新調する際に必ず和室の木枠内を採寸し正確に製造して納める理由が、お分かりいただけたでしょうか。
畳のサイズについて詳しくはこちら↓
和室の採寸はどうやるの?採寸方法によって畳が小さくなったり変形してしまうかも
和室の大きさは3畳・4.5畳・6畳・8畳などの正方形か長方形が基本です。
枠内に納める必要があるため厳密に採寸しないと大き過ぎて入らないことや、逆に小さ過ぎてスカスカになることもあります。
そのため昔から畳同士が接する面は直角に作り、壁側で曲(くせ)を出して採寸・製造をしてきました。
要するに壁側の曲がりを採寸すれば良いので三平方の定理などを利用し、糸を張って曲がりを測るのが昔は一般的でした。
採寸した割付け表
しかし現在ではレーザーを利用して部屋の中心に直角になる十字を基準とし、そこから壁側までどのくらいの距離か?を測る方法が普及しています。
レーザーというと近代的なイメージですが測る物差しは未だに尺貫法を用いており、関東間であれば5尺8寸よりもどのくらい大きいか小さいかという基準で独特な測り方をしています。
畳屋専用の尺貫法定規
上記の測り方は和室が正方形や長方形に近いという前提で成り立っている採寸法です。
そのため大きく歪んだ枠内で採寸するには全く適さず、変形や円形の和室ではかなりの工夫がいります。
このように斜めの和室もある
株式会社国枝の国枝幹生社長から学ぶ講習会
東京都畳工業協同組合青年部では岐阜県から株式会社国枝の国枝社長をお招きし、変形した和室での採寸方法を学ぶ講習会を開催しました。
勉強が嫌で畳屋になったのに大人になってからの方が勉強しているという矛盾を抱えつつ、遠い昔に聞いたことのあるような「x軸とy軸」とか「この辺の長さを求めるためには√が・・・」とか、もう野生の勘で採寸してきた自分が恥ずかしくなるような的確で論理的な講習でした。
講師の国枝社長
そして実戦形式で変形の和室に見立てたスペースを採寸していきます。
真ん中に掘りごたつがある場合など、実際に人から習うと今までの経験が答え合わせとなり、様々な応用が可能という事が分かったのは大きな収穫でした。
模擬採寸
今回は採寸方法の授業でしたが、本当に難しいのは変形した特殊な形をした畳の製造です。
特別な機械装置がある工場でしか生産できない畳もありますので、私が全てを作れるわけではありません。
しかしCADを利用して正確に採寸さえできれば製造工場に依頼できます。
「こんな形の畳は無理でしょ?」と言わずに、何かお困りごとがあれば気軽にご相談ください。
変形はかなり高額ですが世界に一つのオリジナル畳も良いのではないでしょうか。
東京都北区で四代110余年
有限会社八巻畳工業
03-3917-9827