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当店では障子の貼り替えや新調のご依頼を請け施工しているのですが、貼り替え時に多くのお客様からご相談を受けるのが【敷居スベリテープ】です。
多くの場合は剥がれてしまったり、テープが断続的にひび割れ・亀裂が入って裂けている状態になっています。
プロなので、このようなご依頼に対処し張り替えることは出来るのですが、今回は業者に依頼せず、自分でDIYする方法を解説していきます。
敷居に貼ってある『敷居スベリ』
敷居スベリが剥がれる・裂ける・ひび割れる原因と箇所とは
敷居スベリが全部剥がれてしまったという事例はほぼありません。
ほとんどの場合劣化しているのは和室の部屋内から見て二本ある敷居のレール上、右奥のみだと思います。
結論から言うと敷居スベリテープが裂けていたり、ひび割れている原因は太陽光による経年劣化で『ポリエチレン』という、プラスチックのような素材が収縮しておこります。
剥がれてしまう原因は敷居スベリの粘着テープがしっかり貼り付いていないということもありますが、実は障子本体が2枚の引き違いの場合、建具(ふすまや障子)は右に引手がある方が手前で、左に引手がある方が奥に配置するというルールがあります。
このため部屋の内側に右側の障子が、部屋から見て外側に左の障子が配置された状態で長く使用しているので、2本ある敷居の溝は右側の奥だけ閉めている時は常に太陽光にさらされている状況になるのです。
また、障子本体は多くの時間、閉めて使用してると思いますが、その場合は右側手前に右の障子が乗っていて、左側奥に左の障子が乗っています。
したがって右側奥の敷居溝には障子本体が乗っていない状況が続きますので、敷居スベリテープは重しが無いので浮いて剥がれてしまいます。
通常は右側が手前になる
ひび割れてしまった・裂けた敷居スベリテープの剥がし方と応急処置
一言で言うと敷居スベリテープの劣化具合によって剥がし方は2種類あります。
最も簡単に剥がれるのはひび割れたり裂けていない状態で、端からめくって剥がれるパターンです。
ただこの時に注意して欲しいのは、敷居スベリテープの粘着力が残っていると敷居は木材でできていますので、木材の表面ごと接着した状態で剥がれてしまいます。
こうなると敷居の溝は凹凸が激しくなり、次にテープを貼った時に接着面が少なく剥がれやすくなってしまいます。
とは言え他に剥がしようが無いので一度めくってしまったら剥がすしかありませんよね。
その場合は木が剥がれた敷居溝にパテを塗り込んで平らに均して、よく乾かせてから改めてテープを貼るしかありません。
また経年劣化でひび割れ、裂けてしまったテープを剥がすためには道具がいります。
劣化したテープは粉々になっていっぺんには剥がせませんので、マイナスドライバーや金属製のヘラを使用して、できるだけ敷き溝の木部を傷めないように削っていきます。
実はこれがとんでもない重労働でして、溝に残った敷居スベリの両面テープまで剥がすとなると多くの時間を奪われます。
裂けてしまった敷居スベリテープ
応急処置としては太陽光で劣化してひび割れた箇所のテープのみ削って剥がし、左の障子本体が乗っている溝のテープはそのままにするというのも良いでしょう。
剥がした箇所に新しいテープを貼る時のコツは、剥がさず残った左側のテープ断面と、新しく貼るテープ断面をピッタリジョイントすることです。
隙間が開くと段になり引っ掛かります。
【DIY】自分で敷居スベリテープを貼り替える場合の購入方法や注意点と選び方
敷居スベリと言えば『川口技研』が最も有名で、ホームセンターでもネットでも簡単に購入可能です。
しかし購入したものの長さが足りなかったり、敷居溝の幅と合わないなどということもありますよね。
ネットで検索してもらえると分かりますが、敷居スベリは長さと幅の違う商品がいくつもあります。
まず第一に必要な長さ分を購入するのは当たり前ですが、幅は直接ホームセンターで購入の場合、皆さん迷ってしまいそうです。
一般的には敷居スベリの幅は2種類で『18㎜』と『21㎜』があります。
長年の経験上21㎜を購入しておけば間違いありませんが、21㎜の溝でも幅が小さい18㎜が代用可能です。
川口技研の敷居スベリテープはこちら↓
21の方
剥がし方は上記で説明した通り、劣化度合いによって変わります。
商品説明でドライヤーなどの温風で温めてから剥がすと剥がれやすいとありますので、冬場などやってみる価値はありますが、経験上ひび割れている敷居スベリには効果がありません。
川口技研の剥がし方と貼り方↓
ここで重要なのは下地の敷居溝木部を傷めないこと。
また、剥がした後は掃除機や濡れ雑巾などで、出た破片やホコリを完全に取り除くことです。
剥がれてしまった多くの原因は下地の悪さかゴミなどの撤去が適当だった場合です。
凹凸にパテを塗ったり雑巾で水拭きした場合は、完全に木部を乾かせてからテープを貼るようにしてください。
テープの貼り方はまず端に押し付けてから軽く引きながら真っ直ぐ押し付けていきます。
真っ直ぐに貼れていれば最後にマイナスドライバーや金属製のヘラに雑巾を当てて、押しつけるように滑らせても効果的です。
貼った最後の端は角にマイナスドライバーや金属製のヘラを押し当ててカッターで切ります。
多少短い分には問題ありませんが、長いと障子本体が窓枠手前で止まりしっかり端まで行かなく、隙間が出来て冷気が流れ込む原因になりますので注意してください。
前述のように部屋内から見て右奥の敷居溝だけテープが剥がれて浮き上がってしまう場合は、右の障子と左の障子の前後を入れ替えて設置し、剥がれてしまったテープの上に右の障子が乗っている状態で重しをしてください。
1週間程度様子を見て剥がれないようなら大丈夫だと思います。
敷居スベリテープを太陽光による経年劣化から守り長持ちさせるコツ
建具だけではなくガラスサッシなども右側が手前になるのには様々な理由があります。
諸説ありますが死に装束が左前だから縁起が悪いという理由や、右利きが多いので使い勝手が良いなどの理由です。
しかし本当の理由は私の推測上、襖が引き違いの場合に閉めた状態で襖同士の隙間を埋めるために、襖の縦縁が引手側と反対側で太さが違うという理由から来ているのだと思います。
詳しくはこちらを↓
しかし障子に関しては『ドブ』や『マス』といった違いが無いので、この右左を前後入れ替えても支障はありません。
強いて言えば縁起が悪い事でしょうかね。
もしあなたが一度でも劣化した敷居スベリテープを苦労して剥がしたことがある人だとすると、あの労力は悪い縁起に勝つ可能性があります。
そのような人は1年に一回とか、障子を貼り替えたタイミングなどに、右左の前後を入れ替えてみるのも良いかもしれませんね。
そうすると太陽光にさらされる時間が左右で同じようになり、片側だけが劣化するということもなくなります。
お試しください。