お見積もりにお伺いしてよく言われるのですが、陽当たりが良い部屋で「せっかく張り替えてもすぐに日焼けしちゃうからもったいない」というものです。

今回は畳が日焼けしてしまう理由と防ぐ方法、日焼けしない畳などの情報を解説していきます。

 

 

 

そもそも畳はなぜ日焼けして変色してしまうのか?

普通に畳を見て「これは天然藺草(いぐさ)の畳だね」とか「この畳は化学表が使われているね」などと言えるのは畳屋くらいなものなので、新築やリフォームで実際に自宅の畳が天然藺草か化学表か分かる人は少ないと思います。

見分ける方法は簡単です。

時間は掛かりますが最初は緑色をしていても経年変化で徐々に茶色になっていけば天然藺草。

1年経っても変色しなければ化学表と呼ばれる『樹脂製』や『和紙製』です。

また、新しい畳の場合は匂いも基準になります。

工業製品である化学表を張り付けた畳は香りませんが、天然の藺草は森林にいるような心地よい香りがします。

 

ではなぜ天然藺草は日焼けしてしまうのでしょうか?

それは藺草は葉であり茎でもある植物なので、自然界にある落ち葉や雑草のように枯れるからです。

そもそも刈取りで藺草が根から離れた瞬間、枯れは始まっています。

刈り取って倉庫へ保管され、製織された後に畳に張り付けられてなお緑色を保っているのは『泥染め』という独特な工程を経ているためです。

藺草は夜も明けきらぬ頃から朝露の付いたまま刈り取られます。

すぐさま土を溶かした泥水に浸けられ表面に土が付いた状態で乾燥させられます。

そして光を遮断するビニール袋に入れた後、湿度の低く太陽光の届かない倉庫で保管されるのです。

この時に紫外線は当たり前ですが、実は『湿度』というのが大変肝心になります。

同じように光を遮断していても湿度が高いか低いかで藺草の退色スピードが違うのです。

具体的には湿度が高ければ退色スピードも進み、低ければスピードが緩やかになる傾向があります。

畳を早く日焼させる実験をした際、霧吹きで水分を噴霧してから太陽光に当てるとかなり早いペースで日焼けしました。

このため日当たりの良い部屋では早く退色するのは当たり前ですが、更に湿度の高い梅雨時期などは退色スピードが増すと考えられます。

 

 

日焼けをなんとか防ぎたい!障子やカーテンなどの遮光と敷物による日焼け防止策とは【賃貸物件のオーナー必見】

前述の通り物理的に遮光するのが最も効果的な日焼け防止策です。

では賃貸物件などでどうしても借主が決まるまで青味を保ちたい場合はどうしたら良いでしょう。

その場合は遮光カーテンを用いるのが最も効果的です。

障子は明かりがある程度入ってしまいますし、敷物をする場合はかなり厚手の生地を隙間なく敷き詰める必要があります。

よく新聞紙などを敷いて契約者が決まるまで青味を保とうとする大家さんがいますが、新聞紙の枚数によって遮光が変わってきますので重なった箇所の色むらが出てしまいます。

毛布などの生地も柄があると、その柄の色調によって色むらが出ます。

畳に直接敷物を敷いて日除けをするよりもカーテンなどで窓からの陽を遮光した方が自然に青味を保てます。

 

話しは変わりますが陽当たりが良すぎるマンションのベランダ側などで、その部分だけでも焼け過ぎないようにしたいという方もおられると思います。

その場合はベランダ側の畳に薄縁(うすべり)などのゴザを敷くと良いかもしれません。

 

 

日焼けしない畳が欲しい人はダイケン和紙や、MIGUSAなどの樹脂表もお勧め

天然藺草と違い化学表と呼ばれるダイケン和紙表や、セキスイMIGUSAの樹脂表は日焼けによる退色がほとんどありません。

見た目も天然藺草にかなり近いカラーがあるので、一般の人が見ても天然物との区別はつきにくいでしょう。

ただ全く退色しないという訳ではありませんので注意が必要です。

さらに畳縁もポリエステル・ポリプロピレンなどが素材になっているため、陽当たりの良い場所では劣化して退色します。

具体的には白っぽくなっていきます。

最近では紫外線に強い畳縁もありますので、詳しくはお問い合わせください。

 

 

まとめ

今回は畳の日焼けについて焦点を当て解説してきましたが、正直な気持ち、陽当たりが良いのは贅沢な悩みなのかもしれません。

なぜなら陽の当たらない部屋だったとしても畳がいつまでも青い訳ではありませんし、そのような部屋では湿度が高いのでカビやダニのリスクがあります。

畳は張り替えてすぐに色が変わるくらいが住環境的には良いのかもしれませんよ?

 

 

東京都北区で四代110余年

有限会社八巻畳工業

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