初めて畳替えを依頼した人や、何らかの理由で畳をめくって持ち上げたことのある人なら見たことがあると思いますが、畳の下にはホコリなどの塵とは別に【ゴザの切れ端】が敷いてあることがあります。

「前に施工した畳屋さんがゴミを置いて帰った」と言うお客様がいますが、それは事実ではありません。

今回は畳の下にあるゴザの切れ端と、よくあるゴミやその掃除方法などを解説していきます。

 

 

畳の下にあるゴザの切れ端は誰が何のために置いていくのか?

畳の本体部分(ゴザの下側)は昔から40センチ程度に積んだ藁(わら)を圧縮して5~6センチに細かく縫い上げてあります。

藁は長さも太さも違いますので当然均一な厚みになりにくいのですが、畳床(たたみどこ)製造業者は限りなく均一な厚みにして出荷しています。

そのため新しい状態では畳同士が合わさる所で同じ厚みに近いのですが、経年劣化でよく踏まれるところは潰れたり、縫い糸が緩んだり切れたりすると逆に膨張して厚さが増します。

 

藁床(わらどこ)の切断面

 

厚みにムラが出ると隣り合った畳同士で小さな段差ができてしまいます。

そのような段差は気にしない方も多いのですが、歩行はもちろん掃除機をかける際に高い方の段差だけが摩擦によって傷むため、小さくても段差は無い方が畳の寿命は延びます。

そこで畳屋は畳の下にゴザの切れ端を入れて段差解消をしているという訳なのです。

 

畳縁の方が低い段差

 

深いところはゴザ二枚分

 

畳を持ち上げて切れ端を敷く

 

畳を戻すと段差が解消されている

 

こんなに段差がある

 

 

畳の下には敢えて新品ではなく古くなったゴザの切れ端を敷く理由

畳の下になってしまい見えなくなるとはいえ古いゴザを入れるのはどうか?と思う方がいるかもしれません。

敢えて新品を利用しないのには理由があって、新しいゴザは水分と栄養が豊富にあります。

当店でも20年以上前には新品のゴザを切って段差解消に使用していましたが、数年後の張り替え作業で畳を引き上げると1Fなど湿度の多い和室では、その切れ端となったゴザにカビが生えていることが多くありました。

そのため現在では水分と栄養分が抜けた、古いゴザを切って段差解消に使用しています。

 

 

畳の下にあるゴミやホコリを効率よく掃除するための道具や方法

畳屋さんによって違いますが畳を剥がした後の床掃除は基本的に当店でやっています。

畳店で掃除までしてくれない場合や自分で綺麗にしたい方はちょっとしたコツで劇的に早く面倒な掃除が済む方法があります。

毎日掃除している私が言うのですから間違いないと思います。

どうぞ参考にしてみてください。

 

1 窓を全開にしてホコリを外に逃がす

実は皆さんが思っているよりもはるかに畳の下はホコリだらけです。

これから掃除をしてホコリを巻き上げますので、窓を開けてマスクをし、必要であればホコリが被ってほしくない家具などは養生しましょう。

 

2 大きなゴミはホウキで掃いてまとめて捨てる

くどいようですが皆さんが思っている以上に畳の下に溜まったゴミは多く、特に段差調整で使用したゴザの切れ端と、そこから分離してしまった1本1本の藺草(いぐさ)、これが厄介です。

切れ端は手で拾ってゴミ袋に入れ、ばらけた藺草はホウキで掃いて一箇所にまとめ、やはり手で掴んでゴミ袋へ入れるのが最も効率良いです。

この時に派手に掃いてしまうとホコリの舞い方が凄いので、大ゴミだけをできるだけゆっくり集めて取るのがコツですね。

また、壁側にある木材(畳寄せ)の下は大抵空洞になっています。

そこにもなぜか大工さんが残していったカンナくずやタバコの吸い殻がありますので、ホウキを突っ込んで大きなゴミだけ掻き出しましょう。

 

3 細かいゴミを掃除機で吸い取る

先程までのゴミは掃除機で吸い取れない大きさのゴミでした。

そこさえホウキと塵取りで掃除してしまいえば、あとは掃除機をかけて終わりになります。

床面を全体に掃除機がけし、最後に細いノズルを付けて畳寄せの下側に溜まったホコリを吸い取りましょう。

余裕があれば舞い散ったホコリが畳寄せの上側や敷居に乗っています。

こちらも丁寧に掃除機で吸い取った方が良いでしょう。

 

細いノズルで吸い取る

 

 

畳の下にいる虫たちと、その殺虫・防虫方法

特に気密性の高いマンションに多い虫は【ダニ】【ヤマトシミ】【ヒメカツオブシ虫】です。

ダニは見えませんがホコリにいます。

ヤマトシミは古い紙を食べる虫で銀色で素早く動き回り、暗い所に逃げ込む習性があります。

畳の下だけではなくフローリングの下にもいますし、時々明るい場所にも出没します。

ヒメカツオブシ虫は主に幼虫が畳の下で成虫になるまで住んでいます。

縞模様の茶色いうねうねした幼虫がいたら、動物繊維(シルク・カシミヤ・ウール)の衣類を食い荒らす虫ですのでお気を付けください。

ヤマトシミもヒメカツオブシ虫も人間を刺したり噛んだりしません。

虫について詳しい記事はこちらです↓

 

通気性の良い在来建築の一軒家に多くいる虫はゴキブリです。

畳寄せという壁の下にある木材下側の空洞には、よくゴキブリの卵があります。

 

これらの虫は畳を剥がした際によく掃除して板の継ぎ目にある隙間や、畳寄せの下側に殺虫剤をかけると効果的です。

この際にゴキブリ団子のようなホウ酸系トラップを仕掛けておくのも良いですね。

一番人体に安全で長期間(半永久的)に防虫効果が持続するのはホウ酸系の防虫紙です。

 

防虫紙

 

畳の下に敷いておくだけで揮発しませんから人体には影響なく長期間防虫効果を期待できます。

詳しくはこちらを参照してください。