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ちょっと押入れの中を片付けようと襖を外したら、改めてはめる時に「どっちが手前だったかな?」という経験ありませんか?
お客様宅にお伺いして襖が前後逆の時に、その理由を聞くとほとんどの方が「前後は意識していなかった」と言います。
しかし前後が正しく配置されていた方が良い理由がありますので、今回は襖の正しい並べ方を一般の方にも分かりやすく解説していきますね。
襖配置の基本は【右手前】これだけ覚えておきましょう
ほとんどの場合一般家庭の押入れは襖が2枚で構成されていると思います。
2枚ですから『引手(ひきて)』と呼ばれる取っ手部分が目印になり左右は分かりますよね。
では前後はどうでしょうか。
2枚だけで引き違いの襖は『敷居(しきい)』の溝が2本あります。
敷居
上を見上げると『鴨居(かもい)』という2本の溝もありますよね。
鴨居
部屋側手前の溝にはめるのは引手が【右】に付いている襖が基本です。
即ち襖を外して元に戻す際は必ず【左】を先に入れて、続いて【右】を入れ右が必ず前になるようにします。
入れ方は鴨居の溝(上奥側)に差し込んでから敷居の溝(下奥側)に設置という流れです。
右の襖が手前
襖は右が手前の方が良いたった一つの理由
外した襖を普通に持ってみると良く分かりますが、左右の縁(ふち)は太さが違う事に気付きます。
太さの違い
正面から見て『左の襖』は左側の縦桟が細く、右側が少し太いはずです。
逆に『右の襖』は左側が太く、右側が細くなっています。
襖を閉めた状態で中央の重なり合った縦桟の縁がお互いに太いという事です。
閉めた状態での隙間
これは『右の襖』は後ろ側に縦桟が少し出っ張り『左の襖』は前側に縦桟が少し出っ張る事により、襖同士の隙間を解消しているのが原因です。
押入れではあまり意識しなくても良いのですが、部屋と部屋の間仕切りにある両面襖の場合、このように太い縦桟の縁同士が合わさらないと光や風が通って仕切りの意味が無くなってしまいます。
そのため2枚の襖は必ず右が手前に来て、左が奥になるように設置した方が良いのです。
襖の右側が手前にならない特殊な例もある
前述したとおり基本的には右側が手前ですが、襖の枚数や使用目的によって必ず右が前とは限らないことがあります。
例えば押入れが並んで二つあり、柱を中心に左右2枚ずつ計4枚の襖がある場合。
表具屋さんや設計士によって多少違いがありますが、左から『奥』『前』柱『前』『奥』と並ぶことがあります。
これは部屋同士の間仕切りで襖が4枚並んだ時に、鴨居と敷居の溝が2本だと中央で合わさる2枚を手前、両端を奥にする構造から来ています。
4枚並びの間仕切り襖
中央の2枚は中心に定木(じょうぎ)という光や風が漏れない板が設置され、同じ溝で合わさるように出来ています。
定木
鴨居や敷居に4本の溝があって襖の数も4枚なら、全ての襖を違う溝に配置し、全部端に持っていけば1枚分のスペースに4枚重なって納められます。
しかし一般的には特に敷居が幅を取ることを嫌うので2本溝に4枚の襖という訳です。
3本溝の敷居
襖を外す前に確認しておきたい事と、元に戻す時に気を付ければ良い事
ご自宅の襖を外す際は押し入れの2枚なら【右手前】を覚えておけば問題ありません。
押入れでも柱を挟んで2枚ずつ4枚の時は【右側の押入れは左右どちらが前か?】を確認しておいてください。
間仕切りの襖は2枚でも両面ですから、同じ柄だと裏表が分からなくなります。
その場合はどちらの部屋にどの面が向いていたか?を確認して外してください。
間仕切りの4本襖は両面なので同じようにどちらの部屋にどの面が向いていたか?と定規の付いている襖がどの位置に来るか?を確認しておくと良いでしょう。
そんなの確認しないで外しちゃって、裏表も分からなくなった・・・。
そんな時は太い縦桟の縁が出っ張っている方向を見て『出っ張り同士が合わさる方』と覚えてください。
襖同士が合わさる方に必ず縦桟の出っ張りが来ます。
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業
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