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以前、日本一の畳をご紹介させていただきました。
その時は畳業界で誰もが認める名人が作った畳表を使用した【表替え】という施工でした。
皆さんは『日本一の畳』と言ったらどんな畳を想像するでしょうか?
値段?希少価値?大きさ?
今回は【新床(新畳)】という施工で、畳本体から全て新しく作り替える施工のご紹介です。
前回、表替えの日本一はこちら↓
【日本一】畳業界が認める最高峰の高級畳表を東京都北区のお客様宅で施工 | 東京都北区の畳店 畳の凹み ヘリなし畳は八巻畳店 (yamaki-tatami.com)
安全性を最も重視した藺草(いぐさ)農家が作る畳表とは?
8年前、四代目畳職人の私が一目惚れして1年間に5回通い詰めた藺草農家が吉田さん一家です。
初めて問屋(材料商)から仕入れた畳表の素晴らしさに「この家族が作った畳表が欲しい!」と思い立ち、気が付いたら熊本まで行っていました。
吉田さん一家と私
当時から他の農家さんとは違うと思っていたのは【安全性へのこだわり】でした。
無農薬という訳にはいかないので藺草栽培の最初に少量の農薬・除草剤を使用しますが、その後は一切使用せず雑草も手で引き抜きます。
そのため刈り取られた藺草に農薬は残留していません。
農薬は藺草刈りが終わった後に植えられる稲に使用しても、その後に植える藺草で検出されてしまうため、稲も同じように残留農薬が出ないように育てられています。
残留農薬の検査結果報告書(息子さんの名前)
『ポット苗』と呼ばれる栽培方法も今では多くの藺草農家が行っていますが、最初に取り入れたのは吉田さん一家でした。
手植えとの差はポット苗の場合、株が丸く均一に育つ点です。
手植えの場合は楕円形になりやすいそうです。
この作業は毎年お手伝いに行っていますので、詳しくは下記を参照にしてください。
ポット苗の記事はこちら↓
【畳の原料】2021年度植付けの藺草(いぐさ)育成状況【熊本の農家さん通信】 | 東京都北区の畳店 畳の凹み ヘリなし畳は八巻畳店 (yamaki-tatami.com)
畳は何年で交換するの?畳表の耐久性は藺草の長さと太さで決まります
よく「畳は何年くらいもつの?」と質問を受けますが、使用する畳表のランクや、その部屋の使用頻度によって大きく違いますので簡単には答えられません。
しかし「耐久性の高い天然藺草は何が違うのか?」と聞かれれば、答えは「藺草の長さと太さです」と即答できます。
基本的に藺草は長ければ長いほど太さが均一な真ん中部分を畳表として使用できます。
また、太ければ太いほど表皮は厚くなるので耐久性が高いと言えます。
今回使用した畳表に使用されている藺草の品種は【涼風】という、太さに特徴がある新品種です。
まだ栽培され始めてから数年ですので、この涼風自体に等級はありません。
そのため等級のある【ひのみどり】という品種で織られた畳表が業界では最高峰という位置付けになっています。
ひのみどりは長く伸び、色味が均一なのですが『細い』という特徴があります。
逆に涼風は『太い』のですが色味が揃いにくいという特徴があります。
農家さんによって違いますが選別した藺草は長さを1番~6番という形でランク分けしています。
6番は短い藺草で穂先や根に近い部分が含まれるので、色味が不均一で耐久性もあまりありません。
逆に1番は成人男性の背丈ほどに伸びているので、関東なら88cm幅の畳に真ん中部分を贅沢に使用できます。
今回は吉田さんに無理を言って1番の上。
更に長く伸びた希少ランクである【特】の藺草で織った畳表を送ってもらいました。
長さだけではなく太さもビックリするくらい太いです。
特の畳表
畳自体の新調(新床・新畳)のタイミングはいつが良いのか?
上記では畳表の説明をさせていただきましたが、今回は畳を新調しましたので畳床(芯になる部分)も併せてご紹介します。
まず畳床の良し悪しによって畳の寿命は大きく違ってきます。
素材も昔ながらの藁(わら)製なら長持ちしますが等級によって耐久度は違います。
ダイケンボードなどで作られた畳床は概ね20年前後です。
しかしこちらも使用頻度や中に入っている発泡スチロールの良し悪しによって変わってきます。
踏んでみてフワフワしたり凹みが大きくなった畳は寿命だと思って新しくすることをお勧めします。
今回使用した畳床は等級で言うと【特級】です。
賃貸住宅で4級、一般住宅で使用される等級が3級ですので特級となるとかなり耐久性があります。
藁製で6段配と言って縦横に並べた藁が6層に重なっています。
40cm程度に積んだ藁を圧縮して縫い締め5.5cmの厚みにまでしますので、藁の密度は物凄く1畳で30キロを超えます。
一般的には古い畳を解して長い藁を取り出し再利用する業者が多いのですが、今回は全て新藁で製作してもらいました。
普通に使用する分には40~50年は使える畳床だと思います。
藁製畳床の断面
完成した日本一の畳は畳縁(たたみべり)も縁起が良かった
施主様の希望で七宝(しっぽう)柄の畳縁を使用しました。
七宝は仏教の教典に出てくる七種の宝のことで、金・銀・瑠璃・玻璃 ・しゃこ貝・珊瑚・瑪瑙であるそうです。
現在では床の間に使用する事が多いのですが、今回使用する七宝は一般的な畳縁として使用しやすい柄の大きさ・素材になっています。
柄が上手く合った所だけ撮ってます・・・
素晴らしい色艶と歪みの無い均一な畳床
畳で究極の日本一を求めるのなら急いだ方が良い理由とは
もしこの記事を見ている方で「お金に糸目は付けないから、誰もが認める日本一の畳を売ってくれ!」という方がいたらお急ぎください。
その素材はもうすぐ無くなりますし、それを作れる職人もいなくなります。
その時代、その時、最高の素材でというのが基本的な話になりますが、現代であれば【手縫いの藁床】を作れる職人さんは数人しかいませんし、畳表も【中継ぎ表】が最高級だとしたら急がないと間に合わなくなるくらい希少価値が高いと言えます。
何をもって【日本一】とするのか?によりますが、皇室に納める畳は一般人が同じ物を有する事は不可能ですので、あくまでも一般的な価値観での日本一を今後も追い求めていきたいと私は思っています。
日本一安全な畳ならお気軽にご相談ください。
等級によっては低価格でご提供もできます。
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業
03-3917-9827