何よりもまず予防、室内環境を整える


目次

1 畳が原因!?和室と虫の関係
2 害虫が出やすい家と出にくい家
3 防虫と駆除の違い
4 和室で発生する虫の種類と特長
5 グループ別の防虫・駆除方法
6 何よりもまず予防、室内環境を整える
7 畳屋だからできる防虫と駆除


1 虫は発生するのではなく、発生させてしまっている

ここまでの記事で、和室に出る虫にはそれぞれ原因があることを説明してきました。
その原因を一言でまとめると、「室内環境」です。
虫は突然湧いてくるものではありません。
虫が好む環境を作ってしまった結果として、発生しています。
つまり虫の問題は、「畳の問題」ではなく「環境の問題」であることがほとんどです。
そしてこの環境は、日々の生活の中で無意識に作られてしまっていることが多いです。

虫たちが家でくつろぐ様子


2 ホコリは虫の餌であり、ダニの温床になる

畳屋として現場で最も多く見ているのが「ホコリ」です。
畳と畳の隙間には、長年にわたってホコリが溜まっています。
このホコリは単なるゴミではなく、虫にとっては餌です。
特に皮脂や食べカスが混ざったホコリは、ダニの格好の栄養源になります。
さらにそのダニを餌にするツメダニなどが増えることで、刺される被害に繋がることもあります。
実際の現場では、畳をめくるとホコリが筋のように固まっていることが多く、掃除が行き届いていないことが分かります。
この状態は間違いなくダニの温床になっています。

掃除機はゆっくりかけるほど有効


3 湿気は虫を呼び込む最大の原因

虫の発生で次に大きな原因となるのが湿気です。
湿度が高い環境は、虫にとって非常に住みやすい環境です。
特にチャタテムシやヤマトシミなどは、湿気とカビを好む虫です。
畳の下は空気が動かないため、湿気が溜まりやすい場所です。
長年畳を動かしていない部屋では、湿気が抜けずに溜まり続けています。
また押入れや布団の下、家具の裏なども同様に湿気がこもりやすい場所です。
湿気は目に見えないため軽視されがちですが、虫の発生においては非常に大きな要因です。

晴れた日の換気が大切


4 畳をめくると分かる「本当の状態」

畳屋として現場でよくあるのが、畳をめくった瞬間に状態が一変することです。
約半数のご家庭で、ヒメカツオブシムシの幼虫の抜け殻が見つかります。
これはクローゼットやタンスの動物性衣類を餌にする虫が生息していた証拠です。
また畳の下にホコリが溜まり、その中で虫が発生しているケースも非常に多いです。
さらに畳を踏んだ時に大きく沈む場合は、床板がシロアリに喰われていることがあります。
このように、表面からは分からない問題が、畳の下には隠れています。

衣類を食い破る虫たち


5 「畳が原因」と思われがちな誤解

お客様からよくある相談に、「畳から出た虫に刺された」というものがあります。
しかし実際には、畳が原因であるケースはそれほど多くありません。
ダニに喰われたと思っている方の中には、ネズミ由来のイエダニが原因である場合があります。
また庭作業中に毛虫に触れてしまい、その後に症状が出ているケースもあります。
さらに実際には刺されていないにもかかわらず、精神的な不安から症状を感じている場合もあります。
つまり虫刺されの原因は一つではなく、畳以外の要因も多く存在しています。

ダニのイメージ画


6 予防で最も重要なのは「環境を整えること」

ここまでの内容から分かる通り、虫対策で最も重要なのは予防です。
そして予防の基本は、室内環境を整えることです。

具体的には次の3つが重要です。

・掃除
・換気
・湿度管理

掃除をすることで虫の餌を減らします。
換気をすることで湿気を逃がします。
湿度管理をすることで虫が住みにくい環境を作ります。

この3つを意識するだけで、虫の発生は大きく抑えることができます。


7 殺虫剤だけでは解決しない理由

虫が出ると、まず殺虫剤を使う方が多いです。
しかし殺虫剤はその場の虫を駆除するだけで、根本的な解決にはなりません。
原因が残っていれば、また同じように虫は発生します。
また市販の燻煙剤(バルサンなど)は、畳の下まで十分に浸透しないことがあります。
そのため、畳を上げている状態で使用する方が効果的です。
さらに床下で繋がっている箇所に薬剤を使用することで、忌避効果も期待できます。
ゴキブリの卵などが見つかることも多いため、見えない部分への対策も重要です。

燻煙剤や殺虫剤を床下にまで利かすには、畳替えで畳を和室から出した状態が、最も効果的という事です。
また、畳替えの際には防虫紙を敷いて、予防も兼ねることが可能です。

畳の下に敷く防虫紙


8 予防ができていれば、虫は怖くない

虫の問題は、正しく理解すれば過剰に怖がる必要はありません。
虫は環境に依存して発生します。
つまり環境を整えれば、発生を抑えることができます。
畳は虫を発生させるものではなく、あくまで環境の一部です。
日常の管理を少し意識するだけで、虫の発生は大きく変わります。
そしてそれでも発生してしまった場合は、原因に応じた対策を行うことが重要です。