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何度も書いていますが七島藺草(しちとういぐさ)で織られた畳表を使用した畳は、縁が付いていても付いていなくても【琉球畳】といいます。
今回は大分県に6~7軒しか残っていない七島藺草農家さんから送っていただいた、貴重な畳表を使用しての表替えです。
1日に1枚程度しか織れず年間に2000枚弱しか出回りませんが、植付けや刈取りをお手伝いする事により優先的に分けてもらえました。
刈取りの記事はこちら↓
植付け体験
刈取りのお手伝い
本物の琉球畳が欲しい!ではその気になる納期と価格(値段)は?
中国産ですらも撤退してしまった琉球表は生産と製織に大変手間が掛かっています。
通常の畳表に使用される【藺草(いぐさ)】と違い三角形の茎を縦半分に割いて1本にする作業や、半自動織機
という織機で1本1本手作業で藺草を差し込むなど大変な作業です。
三角藺(さんかくい)
生産農家では1年の内4~5か月は農作業のため製織ができませんので、発注してから半年待ちというのも良くあることです。
そのため時期によっては素材となる七島藺草が全くない、注文が立て込んでいて織る時間がない、などの理由により今後は農家さんの指名買いの場合翌年の収穫分を予約するようになる事が予想されます。
とはいえ当店では4軒の農家さんとお付き合いがありますので、できるだけ早い納品を心掛けています。
気になる価格は2022年現在、半畳の縁無し表替えで40,700円(税込み)で、新床(新調)は41,800円となります。
今年中国産が撤退した影響もあり、今後間違いなく値上がりし続けることが予想されます。
本物の琉球畳が欲しい方は、お早めにご注文ください。
琉球畳の特徴と特性、メリット・デメリットとは
琉球畳は一般的な藺草製の畳表と比べて耐久性が別格に強い特徴があります。
50数年前に行われた東京オリンピックでも柔道の競技に使用されていた琉球畳は、擦れや傷に強く柔道畳だけではなく品物を引きずっていた呉服屋さんの小上がりなど耐久性を求められる箇所に使用されていました。
また一般的な藺草との大きな違いとして『泥染め』という工程がありません。
これは刈り取った直後の藺草を土を溶かした水につけ乾燥させる作業の事を言い、一般的な藺草であればほぼ全てがこの工程を経て製織されます。
しかし七島藺草では特にこのような工程がありませんので、藺草とは違い草本来(牧草のような)の香りがします。
デメリットとしてはやはり希少な理由から価格が高い点です。
しかし耐久性を考えるとコストパフォーマンスは抜群に良いと考えられます。(傷みにくいので頻繁に張り替える必要がない)
他には畳の芯材である『畳床(たたみどこ)』が藁製ではなく木質チップボードの場合特に起きやすいのが、畳表の藺草同士が開いてしまう口割れです。
半自動織機で織られた七島藺草は詰めているとはいえ乾燥などの条件により1本1本が細くなります。
そのため畳の上で運動などすると1方向に力が掛かって藺草が寄ってしまう現象が起きます。
口割れの様子
ご依頼主様の期待に応えられず大変ご迷惑をお掛けしました・・・
今回施主様からご依頼があったのは5月の事でした。
原材料の七島藺草の不足から刈取り後一番に織ってもらう事を農家さんと約束し最短で10月末の施工となりましたが、お見積りにお伺いしたときに穏やかな笑顔で対応してくださったご主人様が逝去に伴い、楽しみにしていた畳替えの工期でご迷惑をお掛けしました。
ご家族の「納骨前なので父も喜んでいると思います」という一言に、心から救われた気持ちになりました。
ご主人様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
今後も生産農家さんのお手伝いをし、できるだけ早い施工(納期)を心掛けていきます。
琉球畳半畳市松敷き
東京都北区で四代110余年
有限会社八巻畳工業
03-3917-9827