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賃貸物件を退去の際、畳の上に乗っていた家具をどかしたら、その部分だけ青々していて『日焼けした畳』との色のコントラストが激しくて焦った・・・。なんて経験ありませんか?
日焼けした箇所と、していない箇所で違う色の差、コレ何とかならないの?という賃貸物件の利用者さん、大家・オーナーさん。
最後まで読んでいただけると幸いに存じます。
こんなにくっきり家具の日焼け残り
畳が日焼けするメカニズムと日焼けさせない防衛術とは
畳の表面は【藺草(いぐさ)】という植物を織り込んだ【茣蓙(ござ)】です。
当然植物ですから最初は緑色をしていても、陽に当たり枯れてくると茶色になってきますよね。
しかし藺草は枯れずに長期保管が可能なひと手間が掛けられています。
夜明け前に刈り取った藺草を泥水に浸けて乾燥させる
『泥染め』といって刈り取った藺草はすぐさま泥水に浸けられます。
そして乾燥させると藺草の1本1本に『染土(せんど)』が付着し全体をコーティングしてくれます。
この状態になると『枯れ』は急速に遅くなり、条件により緑色を長期間キープ可能です。
上記のように他の葉などに比べて枯れにくい加工がしてある藺草。
日焼けを防ぐには文字通り【陽に当てないこと】が一番重要になります。
太陽光を出来るだけ遮断すれば藺草の退色は防ぐ事が可能です。
藺草は日に焼けないように黒いビニール袋に入れて保管する
畳を日焼けさせないメリット・デメリット
メリットの前にデメリットをまず説明させてください。
畳を日焼けさせないという事は太陽光を遮断するという事です。
即ち部屋自体を暗くするのなら遮光カーテンや雨戸で、日中でも外の明かりを入れない。
もしくは畳の上に敷物を置いて、畳に太陽光が当たらないようにする。
でも太陽光を一切入れないって事は外気も取り入れないという事になりますので、敷物で太陽光を防ぐのと同じように畳が湿気にやられやすいです。
湿気があるという事は畳の天敵『ダニ』と『カビ』の発生条件も整います。
どちらにしても畳が日焼けしない状況というのは『ダニ・カビ』が発生しやすい環境であると言えます。
ダニは高湿度を好みます
賃貸で畳を出来るだけ日焼けさせないようにして退去していく方もいますが、光を遮っても畳は多少なりとも退色はします。
私が知る限り畳をどんなに綺麗に使用して退去しても、大家・オーナーさんは張り替えの依頼を出しています。
そもそも畳は経年劣化で傷む床材なので、余程汚したり故意に破損させなければ張り替えは大家さん負担です。
ですから「敷金が少しでも多く返ってくるといいな」という気持ちでも、日焼けさせないような住民に劣悪な環境で過ごすメリットはありませんよね。
どうせなら陽当たり良く外気を取り入れ、畳の上に何も敷かずに過ごした方が得だと思います。
という事でメリットはありませんでした。
日焼けした畳と家具が置いてあり日焼けしていない畳、同じ色にするにはどうしたら良い?
数年置いていた家具を配置換えで別の場所に移すと、そこだけ畳の色が変わって違和感がありますよね。
基本的には日焼けした畳を元の色に修復する術はありません。
昔は畳用の塗料などもありましたが、かえって汚らしくムラに見えるので全く使えない商品でした。
しかし緑色の残った部分を日焼けしたようにする事は可能です。
家具を移動後、日の当たる場所なら半年も経つと違和感なくなってきます。
1年経つと良く見れば色の境目が分かる程度にまで同色化してきます。
気長に待てば日焼けが追い付いてくるという事ですね。
日焼けをしない畳が欲しい?もちろんあります!
日焼けは天然の藺草製の畳表で主に起こる現象です。
しかし天然でも着色してある藺草で織られた花茣蓙(はなござ)や、通販でよく見かけるラグなどは日焼けしません。(無着色の部分は日焼けする)
花茣蓙(はなござ)
他にも樹脂製や和紙製の畳表も日焼けしません。
樹脂で有名なのはセキスイのMIGUSA、和紙はダイケンと両社共に豊富なカラーから選べるのも嬉しい所ですよね。
奥の畳は樹脂製で色はずっとこのまま
賃貸物件に『住んでいる方』と『大家さん』の考える、退去時の畳替えコストの差
樹脂・和紙は日焼けしなくて良いですが、賃貸用の畳に比べると表替え単価はかなり高くなります。
基本的には契約時の取り決めが優先されますが、国土交通省のガイドラインでは【畳の裏返し、表替え(特に破損等していないが、次の入居者確保のために行うもの)
(考え方)入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる】と明記されています。
大家さん・オーナーさんとしては毎回畳を替えるコストを省くため、最近では和室をフローリングにという流れです。
借りる方もお洒落なフローリングの部屋に人気が行っているのも事実ですね。
でも前述したように故意に破損したりしない限り畳は経年劣化で日焼けも皮むけもしますので、修繕費は大家さん負担。(契約条件による)
少なくとも「畳のある和室に住むと敷金が持っていかれる」って考えて、和室を諦める人が少しでも減る事を祈っております。
退去する際に入居者が支払わなければならない畳替えの実費負担条件とは
入居者が退去時に支払わなければならない事例として、畳を濡らしてしまったり汚してしまい、それを放置して悪化させた場合というものがあります。
簡単に言うと「畳って使ってれば日焼けもするし、時々ジュース飲んでてこぼしたりもするよね?でも普通にすぐ拭いてカビ生えたり腐ったりしなきゃ、住んでる人は負担しなくて良いよ」って事です。
更に言うと「窓開けたまま外出したら雨降ってきて畳が濡れちゃった?それは借りてる人が悪いわ、敷金で返してね」って事です。
どちらの事例もしつこいようですが{契約時の取り決め}が優先されます。
契約書に『退出時に畳替えは入居者が負担』となっていれば、それに従うしかありません。
あんまり高額な請求を受けた場合は、然るべき機関に問合せしましょう。
ネットで適当に調べて引用しているような畳屋に聞いても無駄です☆
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業
03-3917-9827