イ草の品評会が2月になってから3回目の熊本県八代市に、今年も東京からイ草農家さんの作品を見学に行きました。
【品評会】とはイ草農家の日本一を決める大会で『畳表の部』と『原草の部』の、2種類あります。
畳表とはイ草を織機で織り上げたゴザのことで、原草とは刈り取ったイ草を乾燥させ束にした状態を言います。

第51回
1位は農林水産大臣賞という栄光
原草の部は農家さんが見ても「分からない・・・」と言っているので、畳屋の私が分かる訳もなく、ただ「なるほど」と思うに留まります。
しかし畳表の部は普段使用しているゴザですから、採点の基準までは分かりませんが、並んだ作品全てが最高級品質なのは分かります。
その中でも優劣をつけ、見事に今年の最優秀賞は【農林水産大臣賞】を受賞し、日本一のイ草農家であることが証明される訳です。

この倍くらい並んでいる

日本一の畳表

原草の部
実際に審査する方は畳屋ではないため、畳表を使用する我々からすると好みの分かれることも多々あり、作品には触れませんので厚みや目の詰まり具合などは見た目で判断するしかありません。
イ草は数種類の品種があり、その中でも『ひのみどり』は3段階のランクが設定され、基準を満たした最高ランクは【ひのさらさ】という名前で販売されています。
現在、イ草の品種別で言いますと【涼風】が103ha、【ひのみどり】が57ha、【ひのはるか】が28haと、新品種の涼風が約6割を占める中、高ランクの受賞は相変わらずランクのある、ひのみどり種が多かったように感じます。
吉田家は二等と三等が二つでトリプル受賞
私が刈取りと植付けに通う吉田家では、主人の昭則さん・奥様・息子さんの3名で出展し、3名とも入賞しました。
厳密に言うと『農林水産省農産局長賞』や『九州農政局長賞』や『熊本県知事賞』などあり、それらの名前が付いている賞の後に二等と三等があります。
農家さんが全員出展する訳ではありませんが、206戸のイ草農家の中で受賞するのは大変すばらしい事だと思います。

吉田家の奥様と

昭則さんと
毎年のことですが品評会用に織ったのではなく、普段の出荷用に織った畳表を出品して受賞する吉田家は本当に凄いと思います。
因みに名前が付く受賞の畳表は京間サイズで織られた畳表で、吉田家では関東間サイズ(京間に比べて畳表の幅が短い)しか織っていないので、受賞は困難な中お見事でした。
イ草から畳表が出来るまでの道のりは遠く険しい
品評会の後、お世話になっている吉田家へお邪魔し、製織中の畳表を見せていただきました。
イ草は苗の状態から畳表になってお客様宅へ敷かれるまで、実に2年の歳月を要します。
田んぼの土作りから始まり、苗を植えて伸びたら分割して増やす。
肥料や除草をして伸びたら先の方を刈って杭を打ち込み、網をかけて倒れないように育て、生育がピークの梅雨明け頃に1年分の刈り取りをします。
収穫は1年に1回のため、昨年の熊本豪雨水害のように被災すると、時期によりますがイ草農家は甚大な損失を被ることになってしまうのです。

こうして畳店に届いた畳表は職人の手によって、畳床に張り付けられ、お客様宅で癒しと共に素晴らしい床材として長い年月を過ごします。
今年もイ草の刈り取りに行く予定ですが、大変過酷な作業でもあり、一人でも多くの畳店が協力して産地を応援する未来を期待しています。
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