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このたび本門仏立宗のご信者様より、日蓮聖人のご尊像を安置するための特別な畳【四天付き御茵(おしとね)】のご依頼をいただきました。
御茵は通常の畳とは異なり、神仏や高僧をお祀りする際に用いられる格式高い畳です。
私が知っている限り全国でも、私を含めて2人の畳職人しか定期的に製作していません。
今回は有職(ゆうそく)に沿った製作工程を写真とともにご紹介いたします。
「本門仏立宗」と「日蓮聖人」とは?
本門仏立宗(ほんもんぶつりゅうしゅう)は仏教の宗派のひとつで、鎌倉時代に生きた日蓮上人の教えを大切に受け継いでいるそうです。
日蓮聖人は「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」というお題目を広めたことで知られ、人々の幸せと平和を願った熱心なお坊さんでした。
現在でも多くの方がその教えを信仰し、日々の生活に活かしています。
製作工程のご紹介 ~御茵ができるまで~
① 芯材の製作と下準備
畳の芯材は畳表を5枚重ね縫い合わせて作る
② 綿をのせて、やわらかな山をつくる
畳の上に綿をふんわりと重ね、中央が盛り上がるように形を整えます
③ 鏡の仮留め
鏡をしっかりと張っていきます
④ 側面から見た構造
一晩から二晩かけて鏡で綿を沈ませます
⑤ 鏡・床の仕上げ
鏡を手縫いでしっかり固定していきます
⑥ 四天(してん)を先に縫う
繧繝縁(うんげんべり)意外でも四天と額縁の柄は極力合わせる
⑦ 必ず短手の額縁から手縫いする
額縁の中にも綿を入れてふっくら仕上げる
⑧ 角(隅)の柄合わせ
繧繝縁の柄が曲がったりズレないように熟練の技術が求められます
⑨ くけ縫いでの仕上げ
仮留めしたピンを抜き、赤い糸が見えないように丁寧に手縫いをして仕上げていきます
⑩ 完成!
すべての工程を終え、四天付き御茵の完成です。
格式高い雰囲気と細部までこだわった美しい仕上がりが特徴です。
おわりに
御茵(おしとね)は単なる畳ではありません。
信仰心と職人技術の融合により生まれる、祈りの場を支える神聖な座具です。
今回ご依頼いただいた御茵は、日蓮聖人の御像をお祀りするためのもの。
心を込めて丁寧に仕上げさせていただきました。
職人の仕事に100点満点はありませんが、伝統技術を未来へとつなぐため、今後もこうした製作に真摯に向き合ってまいります。