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「畳の事なんて良く分からないし、畳屋なんてどこでも同じだろ?」って、私が畳屋でなければ絶対に思います。
ではどうして畳店によって価格が違ったり取扱商品が違うのでしょうか?
時々新聞折り込み広告で『激安!畳替え2,700円』とかありますよね。
その金額が本当に安いのか高いのか?
正解は【高い】です。
気になった方は最後まで読んでいただけると幸いに存じます。
※東京都以外にお住まいの方も参考になるようにポイントを押さえてますのでご参照ください
渋谷区広尾 小森谷畳店
明治通りを渋谷駅から南下してくると渋谷橋を過ぎて右手ミニストップが目印です。
その隣にある畳屋らしからぬ建物が小森谷畳店さん。
店主は中嶋さん、主に一人で仕事をしていますが奥様も時々配達に同乗しています。
とにかく都心の幹線道路沿いということもあり、立地は最高ですがこの畳屋さん、他の畳店とは何から何まで違います。
今回は都心の一等地でお店を構える小森谷畳店さんの営業スタイルについてご紹介していきますね。
店頭がショールームになっています
都心の一等地にお店を構えるデメリットを克服し、今後畳店の目指すべき道をいち早く実現した内容とは?
地方に比べて都内は土地の値段が高いのは当たり前ですよね。
その都内でも渋谷区という誰でも知っている土地で幹線道路沿いにお店を構えるメリットは、簡単ですが人目に付きやすい『好立地』以外にありません。
しかしよく考えてみてください。
こんな都心に住宅街はありませんし、ビルのほとんどはオフィスなので住んでいる人はいてもマンションでしょう。
都心の和室減少率は恐ろしいスピードで加速していますから、新築の戸建てでもマンションでも狭小住宅という理由から畳のある和室はほとんどありません。
あっても古いマンションか高級マンションで購入時にオプションとして導入されており、このような立地で畳店を経営するのは非常に難しいのです。
このような条件の中、小森谷畳店がいかに生き残り営業しているかというと・・・。
【畳の無い所に畳を提供する】
そうです、置き畳といってフローリングの上に薄い畳をオーダーメイドで作製して販売しています。
置き畳を購入する客層のほとんどは子育て世代です。
理由は赤ちゃんがハイハイして転んでも怪我をし難い点や、寝てしまってもそのまま布団を掛けるだけで済みます。
走り回れるように成長すると下の階への振動や足音を抑える効果もあるので、マンション在住の子育て世代に置き畳は多く売れているのです。
ほとんどの置き畳は通販やホームセンターの出来合い品ですが、畳屋の作る置き畳は全てオーダーメイドのため、お部屋の大きさに合わせて敷き詰めることができるだけではなく、傷んできたら張り替えも可能です。
また、最近ではフローリングの冷たさや固さが気になる高齢者の方からも注文が増えています。
畳が減り続ける昨今、近未来を予想して誰よりも早く営業方針を転換した凄い畳屋さんなのです。
全国の畳店が見習うべきお手本のような事例ですね。
研修合宿で講義する浜田先生(右)と知っているから聞いてるフリしてる中嶋さんw(右)
畳縁で作ったバックや小物を販売した先駆けの畳屋さん
まだ現在ほど畳縁で作られたバックなどが浸透するずいぶん昔から、小森谷畳店さんでは店頭のショールームで製造販売していました。
渋谷区広尾は畳がある和室こそ少ない物の、観光やオフィスで働く通行人は大勢通る場所。
店先に飾ってある縁のバックに目を付けTV取材で「へり~ばっく」と名付けたのがホンジャマカの石塚さん。
その後、全国的に畳店が同様のバックを製造販売するようになりましたが、正しく元祖は小森谷畳店さんで間違いありません。
他にも可愛い小物類を奥様がミシンで仕上げていたりもしますので、お近くを通った時は是非お立ち寄りください。
約100種類の縁サンプルから選べる
技術と知識で東京の若手畳職人を引っ張っていく大先輩
店主の中嶋さんは東京畳組合青年部の初代会長で、先代は私が畳訓練校に在学中の校長先生でもありました。
訓練校で畳について学び資格を取得すると一人前のような気持になりますが、実は畳製造の本式は京都にあります。
京都では丁稚奉公のように住み込みの職人として技術を習得するため、東京にいては本式を知る機会さえありませんでした。
そんな時に京都の本式を教えてくれる先生と、その研修合宿を教えてくれたのが中嶋さんでした。
年に2回合宿に参加し全国の若手畳職人たちに指導役としても活躍しており、技術・知識共に東京随一と言っても過言ではありません。
そんな凄腕職人の中嶋さんが作る畳。
大手の安売りチェーン店のバイトが作る畳と比べるまでもありませんが、特別高級という訳でもなく、絶対にお勧めです。
人柄もにこやかで、いつでも笑いながら冗談を言っている人ですから敷居は低く、女性でも依頼しやすい畳店さんなので安心ですね。
腕を組んで眼鏡を掛けているのが中嶋さんで右側で縫っているのが私
知っている限り全国でも2店しかない特殊畳を作れる畳屋さん
渋谷区にあるお寺さんでは日蓮上人の仏像を御茵(おしとね)という座布団のような畳に鎮座お祀りしております。
この御茵、小さなものは七寸(約21cm)程度の大きさに四天(してん)が付いている珍しい仕様になっており、額縁の縁は繧繝縁(うんげんべり)という最も高貴な位の縁です。
御茵は現在の畳の原型となった座具で大きい物で半畳サイズが一般的です。
大きなサイズの方が作る手間は少なく、小さければ小さいほど精密な作業が求められ大変作るのが難しい特徴があります。
四天付き御茵は小森谷畳店さんと知っている限りでは当店でしか製造販売しておりません。
初めて縁あって仏具店さんから依頼が来た際は、店主の中嶋さんに御茵の製作方法をご教示いただきました。(実は依頼自体は私の方が先に受けていたという)
この柄を合わす作業は非常に難しい
今回のご紹介は都心の一等地に構える畳屋さんなのに生き残りをかけた凄い取り組みをしている!というだけではなく、更に勉強をして古来からの畳も作ったり後続に指導しているというお話でした。
フローリングに置き畳を敷くなら隙間なくオーダーメイドで作ってくれる畳屋さん、小森谷畳店さんが絶対にお勧めです。
また、寺社仏閣の有職畳(ゆうそくたたみ)も実績が凄いので、安価な金額だけで失敗してしまわぬよう小森谷畳店さんに依頼しましょう。
漏れなく私が付いてくる可能性もありますが☆
小森谷畳店
渋谷区広尾1-14-15
03-3473-2665
JR恵比寿駅より徒歩7分
明治通り「恵比寿橋入口」交差点角
(ミニストップの隣)
東京都渋谷区の畳屋 小森谷畳店 渋谷区・目黒区・港区の畳替え 表替え:琉球畳:カラー畳:フローリング畳:和紙畳:国産畳表: (komoriya-tatami.jp)
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業 03-3917-9827