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畳屋をやっているとお客様から「畳替えに一番良い季節っていつなの?」とよく聞かれます。
聞かれた時点で直近の施工が決まっているので非常に答えにくい質問なのですが、一言で『良い季節』と言っても様々な要因があったり、お客様の生活環境や予算などもあると思います。
今回は1年を春夏秋冬の四季に分けてメリット・デメリットを比較してもらい、自分に合った『畳替えの一番良い季節』をご提案いたします。
春に畳替えをするメリットとデメリット
春 3月4月5月
寒い冬を越してポカポカ陽気で気持ちの良い春。
新生活が始まるなど新たな気持ちで畳替えするには最高の季節と言えるでしょう。
3月は転入・転出時期ですので畳屋的には賃貸物件の仕事で大忙し。(当店は一般家庭の施工がメインなので暇してます)
不動産屋や工務店の仕事がメインの畳屋さんは稼ぎ時です。
そのため4月まで待った方が手を掛けて仕事をしてくれたり、日程の融通は効くかもしれませんね。
3月・4月で気を付けなければいけないのが【花粉症】です。
畳替えの際は窓を開けてホコリを外に出したいものですが、同時に花粉も室内に入ってきます。
花粉症の方は時期をずらすと良いかもしれません。
5月は気温も上がり畳替えには気持ちの良い季節。
しかし前半と後半では色々と悩ましい問題もあります。
前半は何といっても【ゴールデンウィーク】がありますよね。
畳屋が連休で休日の施工は難しいのは勿論、家族で旅行など【出費】が重なることも。
後半は【高温・多湿】の時期。
そうです、カビが生えやすい条件が整いつつある時期ですので注意が必要です。
メリット
・気温が上がって過ごしやすい
・新生活を迎えるのに丁度良い
・4月5月は施工の希望日程の調整が通りやすい
デメリット
・3月は畳屋によっては繁忙期で日程が合いにくい
・忙しくて手を掛けてもらえない可能性も
・花粉が多い
・連休で畳屋が休み
・出費が多い
・5月後半はカビが心配
夏に畳替えをするメリット・デメリット
夏 6月7月8月
この時季は何といっても【雨が多い】季節ですよね。
特に【梅雨時】の高温・多湿は【カビ】と【ダニ】の発生条件を満たしています。
カビが生えやすい湿度は70%以上ですので、この3か月間は毎日が高温・多湿と言っても良いでしょう。
しかし畳替えを避けた方が良いか?と言うと案外、生活環境や施工内容によっては大丈夫だったりします。
湿度が籠りやすいのは主に1階以下の低層階です。
2階以上は低湿度ですし何月に畳替えをしようと1年目の梅雨時が最もカビが生えやすい時期ですので、室内環境が悪ければ畳を何月に新しくしてもカビは生えます。
施工内容が【裏返し】の場合は畳表(ゴザ)の栄養分が抜けているのでカビは生えにくいです。
裏返しの施工であればこの時期に畳替えしても特に問題はありません。
ダニも発生しやすい時季なので、畳替えをして和室の大掃除をすればダニの温床になるホコリなどを取り除けて一石二鳥という考えもありますね。
余談ですが【畳の香り】と湿度は関係性があり、乾燥した時季より湿気の多い時季の方が良く香ります。
香りを楽しみたい方はこの時季をお勧めします。
また雨が降ったら延期になるの?とご心配の方は下記のリンクを参照ください。
ほとんどの場合は雨が降っても畳替え施工は可能です。
【雨降ったら中止・延期?】畳替えの日が雨予報!その程度で諦めなくても大丈夫な理由を分かりやすく解説します | 東京都北区の畳店 畳の凹み ヘリなし畳は八巻畳店 (yamaki-tatami.com)
また東京では7月、地方では8月の【お盆】があります。
東京の場合は帰省する方が多くあまり関係ないのですが、地方は帰省される側になりますので親族が来るのに合わせてお盆前の畳替え依頼が大幅に増えます。
そのため畳替えの施工希望日は早めに予約しないと間に合わない可能性がありますし、畳屋もお盆休みは連休を取りますので施工日の日程調整が難しい季節とも言えます。
メリット
・2階以上の和室であれば湿度は気にしなくても良いことが多い
・裏返し施工はカビが生えにくい
・畳替えついでの掃除でダニの餌になるホコリを除去すればリスクが低くなる
・香りの最も良い時季
・雨が降っても施工は可能
・ご先祖様だけでなく帰省する親族を新しい畳で出迎えられる
デメリット
・雨が多いので1階より低層階はカビやダニのリスクが高い
・とにかく暑い
・8月のお盆休みは畳屋が休業
・東京以外お盆休み前は畳屋が忙しいので希望日施工が困難
・8月は連休で出費が多い
秋に畳替えをするメリット・デメリット
秋 9月10月11月
気温も湿度も落ち着いて畳替えをするには【最高の季節】ですね。
「もう何も言う事は無い、この時季に畳替えをしなさい!」と言いたいところですが、畳屋目線で言うとデメリットもあったりします。
畳表の原料である『藺草(いぐさ)』は夏に刈り取られ農家さんの倉庫で保管されます。
製織作業は9月頃から始まり【新草の流通】は10月からで、畳屋の手元に届いた新草の畳表は11月頃からお客様宅に本格的に使用されるようになります。
この出来立てホヤホヤの新草畳表ですが、青々としてビックリするくらい【濃い緑色】をしています。
これだけ聞くと「良い事じゃないか?」と思いますよね。
しかし新草は【日焼けによる退色】が早く、その濃い緑色はあっという間に褪せて退色してしまう特性があったりします。
要するに日焼けが早いということです。
また、この時期はまだ昨年産の畳表が普通に流通していますので、新草で畳替えが出来るとは限りません。
多くの場合は高級品の畳表ほど寝かせて【熟成】させた方が素晴らしい見栄えになります。
逆に安価な畳表は寝かせると粗が目立ち香りも嫌な匂いになりがちです。
最高級品の畳表は1年寝かせて初めて流通するものまであり、変に青々しくなく落ち着いた緑色を楽しんでいただけます。
メリット
・最適な気温
・最適な湿度
・大掃除を前倒しで出来る
・新草の入荷時期
・丁度1年寝かせた高級品が手に入る
・希望施工日程が通りやすい
デメリット
・日焼けによる退色が早い
・新草で施工とは限らない
冬に畳替えをするメリット・デメリット
冬 12月1月2月
気温が下がって乾燥するこの季節。
12月は【大掃除】も兼ねて畳替えを希望するお客様が増える時期です。
また、【新年を新しい畳】で迎えたくなりますよね。
この時季は【とにかく寒い】ので畳の搬出・搬入でドアを開けっ放しになると身体に堪えます。
窓を開けて掃除の際も凍える寒さというのはデメリットと捉える方も多くいると思います。
ただ【低温で乾燥】しているのでカビやダニというリスクはほとんどありません。
しかし12月は畳屋の1年で1番忙しい時期でもありますので、早目に予約しないと年内の施工は間に合わない事も。
当店などお店によっては【早割り】といって『年内予約で年明け施工』のお客様に割引のあるお店もあります。
お急ぎで無い方は、お得に畳替えを予約出来るチャンスですね。
1月になると年始はお休みの畳店が多いので、月の後半から希望施工日程が通りやすいかもしれません。
ほとんどの畳屋さんは2月が暇なので、じっくり手を掛けて施工してくれると思います。
大きなリスクとしては降雪と路面の凍結です。
こればかりは施工日が決まっていても延期せざるを得ません。
メリット
・低温と乾燥によりカビ・ダニのリスクが低い
・大掃除を兼ねて出来る
・新年を新しい畳で迎えられる
・早割りなど年明け施工でお得
・2月は畳屋が閑散期で施工が丁寧
デメリット
・とにかく寒い
・12月は繁忙期で予約が取りにくい
・年始で畳屋が休み長い
・雪が降ると延期の可能性も
まとめ
四季による畳替えのメリット・デメリットはいかがだったでしょうか?
結論から言うとご自分のライフスタイルに合わせて選んでいただければ、どの季節でも最高の時季とも言えます。
正直に言うと東京の畳屋としては一番暇な2月と8月にご依頼くださるお客様が神様です☆
しかし忙しいからと言って手を抜くというのは一般的な話でして、当店ではどの季節もいつも通り手を掛けて作業をしていますのでご安心ください。
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業
03-3917-9827