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梅雨時から猛暑日、そして秋口まで続く高温・高湿度の時期、畳替えを検討しているお客様へ。
今回はぜひともお願いがあります。
夏場に畳替えをする際、過酷な環境での作業を避け畳の品質を保つためにも、作業前に和室のエアコンを入れておいていただけると、大きなメリットがあります。
本記事では私たち畳屋がこの時期に作業を行う際にお願いしたいこと、エアコンを使用することで得られるメリット、そしてその理由をご説明します。
さらに畳替え作業におけるカビ対策についても解説いたします。
1. 高湿度の時期、エアコンの使用が畳のカビ対策に重要な理由
梅雨時から夏の猛暑そして秋口にかけて、和室は非常に高湿度になります。
湿気が多いと畳にカビが発生しやすくなるため、高湿度の環境で作業を行うことは和室や畳屋にとって大きなリスクです。
特に畳替えの作業中は私たちが汗をかきながら作業をすることで、和室の湿度がさらに上がり畳が湿気を吸収しやすくなります。
また畳に汗が付着すると染みになり変色したり、カビの原因となることがあります。
そのため作業前にエアコンで室内の湿度を下げることが非常に重要です。
エアコンを使うことで和室内の湿気を効率的に取り除き、カビの発生を防ぐことができます。
2. エアコンの使用時間と消費電力~畳替え作業中の影響とコスト~
畳替え作業を行う際、畳の枚数によって違いますが通常、朝の8:00~8:30に訪問し午後4:00頃に納品に伺います。
この間、エアコンを稼働させることになりますが、その消費電力はどのくらいなのでしょうか?
・エアコンの消費電力データ
例えば一般的なエアコン(省エネタイプ)の消費電力は、冷房モードでおおよそ250W~500W程度だそうです。
作業開始から納品完了の時間を8時間とすると、エアコンの消費電力はおおよそ2kWh~4kWhになります。
・電気代の試算
電気代は地域や契約内容によって異なりますが、一般的に1kWhあたり約30円とするとエアコンを8時間使用する場合、消費電力が2kWhの場合で約60円、4kWhの場合で約120円程度の電気代がかかります。
この消費電力は、畳替えの作業によって畳の品質を守るための非常に小さな投資といえます。
エアコンを使用することで、畳の品質を守るためのリスクを軽減し、作業後の湿気問題を防ぐことができます。
3. 畳替え作業で発生するカビのメカニズムと対策~霧吹きや湿度がカビに与える影響~
畳替え作業中、畳表を霧吹きで湿らせる工程があります。
これは藺草(いぐさ)製の畳表を製作する際、藺草が水分で膨らんだ状態で針と糸で縫製するために必要な作業です。
乾燥した藺草は針の穴が大きく開いたり千切れることがあり、畳表の品質を保つために霧吹きで湿らせることは欠かせません。
この霧吹きによって畳表にはある程度の水分が含まれ納品後に湿気を帯びやすい状態になるため、低層階など極稀にカビが発生しやすくなることがあります。
カビが生えるメカニズム
カビは藺草の栄養分と高温多湿の環境で繁殖します。
和室の畳にカビが生える原因として、湿度が高くなることが一番大きな要因です。
湿度が70%以上になるとカビが発生しやすく、特に梅雨時や猛暑日の高温・高湿度環境では、カビのリスクが高まります。
また、畳の表面に汗が付着することで、その部分が湿気を吸収し染みになる可能性が高くなります。
湿度が高いまま放置すると畳の表面にカビが生え、そのまま放置すると和室全体にカビが広がってしまうことがあります。
カビ対策としてのエアコンの役割
エアコンを使用することで室内の湿度を効率的に下げることができ、カビの発生を防ぐことができます。
特に、エアコンを使用して室温と湿度を管理することにより、カビのリスクを大幅に減らすことが可能です。
まとめ~安全な作業環境を作り、畳の品質を守るために
私たち畳屋が高温多湿な環境で作業をする際エアコンを使用することで、作業環境を安全に保ち、畳の品質を守ることができます。
エアコンの使用によって湿度を下げ、畳が湿気を吸い込むのを防ぐことができ、汗染みやカビの発生リスクを軽減することができます。
エアコンを使用することで消費電力もごくわずかで、費用対効果も非常に高いです。
また、法改正により2025年6月1日より、職場での熱中症対策が義務化されました。
もし企業が対策を怠った場合は罰則があるため、対象となる作業をおこなう企業は必ず対応しなければなりません。
そのような理由もあり、私たちがお伺いし畳替え作業を行う前に、エアコンで室内を冷房・除湿することで畳の品質を守り、安全な作業環境を作ることができます。
私たちは、お客様にとって最適な畳替え作業を提供するために、安全対策と畳の品質を守ることに努めています。
畳替えの際には、ぜひエアコンを使用していただき、より良い作業環境を作っていただけるよう、ご協力のほどお願い申し上げます。