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一般的にはほとんどの畳が大型ミシンで逢着されていますし、茣蓙(ござ)は工業用ミシンで縁を縫っています。
しかし寺社仏閣の畳や茣蓙は縁に大きな柄のある『高麗紋縁(こうらいもんべり)』を使用するため、機械縫いでは綺麗に紋模様を出すのが困難です。
そのためそのような有職畳(ゆうそくたたみ)と呼ばれる部類は、現在でも畳屋が手縫いで仕上げています。
今回はその中でも【拝敷き(はいしき)】と呼ばれる僧侶が下に敷いて座る、茣蓙製の座具を手縫い研修するため東京から博多まで行ってきました。
何度か製作していますが今回は製造方法にまた新たな発見があり、仕上がりの良さを奈良県の浜田畳店さんにご教示いただきました。
高麗紋縁
四天付き拝敷きとはどのような宗派がどのように利用しているのか?
拝敷きは主に寺院での礼拝に使用される座具です。
【四天(してん)】とは仏教におけるインド神話による東西南北を守る神で、東方に『持国天』南方に『増長天』西方に『広目天』北方に『毘沙門天(多聞天)』を表しています。
日本では仏教が伝わった聖徳太子の時代から、この四天王信仰が始まったとされています。
この四天付き拝敷きは特に【禅宗】(曹洞宗・臨済宗・黄檗宗)や日蓮宗など多くの宗教で使用されています。
四天は寺院の内陣にある柱や僧侶の袈裟にも付けられていて、魔除けのような意味合いもあるそうです。
四天付き拝敷き
四天付き拝敷きを製作する上でのルールとその手法
拝敷きの大きさには大きく分けて2種類あります。
小さい物は半畳のサイズで、大きい物は一畳のサイズです。
どちらも茣蓙を二枚合わせにして高麗紋縁を縫い付けていきます。(二重にするのは表面の縁を縫ってから)
四天付きの拝敷きはまず、表面の茣蓙に四天になる縁を縫いつけます。
その後に短手側の縁を縫い、長手側の縁を縫って合わさる部分に重ねるのが本式です。
紋の数は基本的に7・5・3と奇数で表現することが多いのですが、寺院の考え方により数が変わることもあります。
7は額縁の2紋と四天の長手方向の5紋を足した数。
3は四天の短手方向の紋数になります。
裏面は紋の模様が丸く綺麗には出ませんが、出来る限り出るように努力します。
また、裏面とはいえ角の合わさる部分も同じように、極力柄が合うように木綿糸で縫って調整します。
7.5.3が基本
今回リーダーを任された重圧と共に学ぶ仲間、畳職人の終わらない技術革新とは
今回、私がお世話になった研修はTTMクラブという若手畳職人が主に学べるグループです。
所属して10年以上経ちますが人数も増え、3人1班でグループになり拝敷きを作成しました。
全国から名だたる畳職人さんが集まる中、今回初めてリーダーという大役を務めさせていただき、出来るだけ未経験の職人さんに作業してもらいました。
私自身も人に教えることにより、新たな発見や作業の見直しにも繋がり、非常に勉強になった研修でした。
特に毎回、角に来る紋縁の仕上げ方法が進化していて、自分で考えただけではまず辿り着けなかったであろう技術を教わることが出来ました。
職人に100点満点は無い。
学び続けることで近付いていくだけですね。
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