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私もホームセンターは大好きで自力でDIYをよくやるのですが、思っていた以上の労力や仕上がりの悪さに反省することがよくあります。
YouTube動画を見ているだけだと簡単に見えても、いざ自力でやってみたら「なんか違うぞ・・・」となった方も多いのではないでしょうか?
今回は手軽にできると一般の方が手を出しやすい襖の貼り替えについて、プロの仕上がりとホームセンターで購入した襖紙をDIYした時ではどのような差が出るのか解説していきます。
完成した襖
プロ用の襖紙とホームセンターで売っている襖紙は全く別物!?違いを解説
ホームセンターに行くと襖コーナーで様々なタイプの襖紙が売っています。
好みの柄は勿論ですが紙の種類も施工方法によって粘着シートタイプ、アイロン糊付けタイプ、水分を含ませて粘着させるタイプと様々です。
これらは基本的に買ってきた襖紙を簡単に貼り付けられるようになっており、襖の縁(ふち)を外さずに上から重ね貼りして縁ギリギリでカットする用にできています。
本職の表具師や経師屋さん(畳店含む)は襖の縁を全て取り外してから襖紙を貼り、縁の下側に紙を回して貼るため手間が掛かっています。
この手間を省いた商品がホームセンターの襖紙ということです。
プロは襖紙の裏側に粘着素材が付いていない物を使用しますので、外側に濃いめの糊を塗って中央は糊を水で薄めた水糊を塗布して、十分に水分を含んだ紙を貼り付けます。
こうすることにより乾燥状態で紙が縮みシワの無い綺麗に張った襖が出来上がります。
貼りたてでふやけた襖
プロは見えない所にこんな手間を掛けている!これをやらないと後悔するかもしれないひと手間とは?
ホームセンターで買ってきた襖紙をDIYしても、上手くやれば来客などの一般人にはプロが貼ったように見えるかもしれません。
単純に綺麗になるだけでも気持ちが良いですし私自身もDIYは好きなので否定はしないのですが、プロは全く見えない所に手間を掛けて長期に渡ってお客様を満足させる工夫をしています。
「襖なんて自分で貼れば500円~1000円程度じゃない!?」と思ったそこのあなた、料理は毎日しているから外食はしないと言っているようなものですよ。
そもそも襖というのは大きく分けて2種類あると思ってください。
地域性もありますが押入れや和室の境にある襖を【襖】や【本襖】と呼びます。
しかし和室と洋間の境にある襖は厚みがあり重く【戸襖】や【板戸】と呼ばれております。
本襖は障子のように格子状の木の桟に紙を貼り付け枠(縁)が取り外し可能なのに対して、戸襖は板状の本体に枠が一体化しており、和室側は襖紙ですが洋間側や廊下側は壁紙や板が貼ってあります。
そのため和室のみ綺麗にするなら戸襖は貼り替えの際に片面だけで済みますが、本襖は押入れでも両面張り替えます。
これは片面だけ貼り替えても良いのですが紙の収縮によって襖本体が反ってしまう原因になりますので、面倒でも本襖は両面の貼り替えをお勧めします。
種類が分かったところでプロがやっているひと手間をご紹介しますね。
まず戸襖は前に貼ってある紙を剥がす作業が必須となります。
古い紙に新しい紙を重ね貼りする方もいますが、紙の収縮によって下地ごと剥がれてしまう可能性があるため、丁寧に作業する業者では必ず古い紙を剥がしてから新しい紙を貼ります。
本襖は重ね貼りを繰り返すと本体自体が重くなるので、数枚重なっている時は剥がして補修してから上貼りします。
この補修も破れた箇所に紙を当てる場合もありますし、一番下地の厚紙が剥がれたり劣化している際は貼り直します。
空いた穴を補修
また、袋貼りという作業では茶チリ紙という薄い紙を下地に貼り、その上に本紙(襖紙)を貼るという手間を掛けます。
こちらはプロでしか施工しない作業ですが、このひと手間により本体からの『灰汁(あく)』が浮き上がらないようにしたり、本体自体にベタ貼りしないで済むため上貼りが収縮する際にシワが出来にくい効果があります。
施工が安いのを売りにしているような業者ではやらない作業なので、お気を付けください。
茶チリで袋貼り
自宅の襖をどうしても自力でDIYしたいのなら、これだけは押さえておいてほしメリット・デメリット
前述のように私個人の意見としてはDIYは否定していません。
費用を抑えなければならない場合や、どうしても自分で襖の貼り替えをしなくてはならない方も多いと思います。
DIYのメリットは何といっても業者に依頼するよりも費用が格段に安い事でしょう。
家族で一緒に貼り替えれば楽しい思い出にもなりますし、貼っているうちに腕前が上がって楽しくなるかもしれませんよね。
ではデメリットはというと、基本的に長期スパンで見ると『剥がれてきてしまった』とか『灰汁が浮いてきて茶色くなった』他には『上手く貼れなくて気泡がたくさん入ってしまった』や『慣れないことをして怪我してしまった』などがあります。
あと最初に揃える道具類が多いために、数枚だけであれば道具類の購入価格がかなり高い物になりますよね。
数年から十数年後に使用する道具を保管しておくのもどうかと思います。
これは直接的なデメリットではありませんが、実は素人が貼った襖紙を次にプロが貼り替える際は大変手間が掛かります。
理由は粘着タイプの襖紙の場合、剥がす際に糊が強すぎて下地ごと剥がれてしまうため補修手間が多く掛かります。
場合によっては本体の骨組みだけになってしまい、下地用の厚紙を一から貼り、更に襖紙を貼るなど2重の手間が。
以上のように多くの枚数を貼り替えするのでなければプロに依頼した方が、長期的に見ればかなりお得と言えるのではないでしょうか?
ご自分でDIYする際にはこの辺も考慮して判断していただけると幸いに存じます。
まとめに当店にご依頼の場合はかなり多くの柄から、ご自分の好みに合ったランクや柄をお選びいただけます。
反り防止のため施工は即日ではなく日陰でゆっくりと乾燥させ、早くても3~4日のお預かりとなりますが、10年以上使用する襖であれば灰汁も出にくく反らない施工をお選びください。