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畳替えを考えているお客様へ。
私が畳屋になったおよそ30年前、畳表(ゴザ)と言えば良質な物は岡山県・広島県が多く、今では全体の7割を占める中国産は賃貸物件の最安値でしか使用されていませんでした。
当時の中国産は短い藺草(いぐさ)しか育っておらず穂先や根が両端に入り込み、それはもう色が均一でないだけではなく表面から切れた藺草が飛び出しているほど。
しかしそれから5年もすると日本の栽培と製織技術が中国で確立され、長くて良質な藺草が多く収穫できるようになり、国産の高級品に見劣りしないような畳表が続々入荷されるようになりました。
丁度そのころ国内では岡山県と広島県の農家が次々と廃業し、2大産地の出荷は大幅に減少します。
そこで台頭してきたのが熊本県産畳表です。
現在では国産全体の98%を占める熊本県産畳表ですが、こちらも後継者不足や畳の減少により廃業が続き、国産最後の砦は大変な危機に陥っているのが現状となります。
熊本県八代市の藺草田
四代目の私と熊本県の藺草農家である吉田さんとの出会い
高校卒業後18歳で畳屋になった私は翌年から畳表の仕入れを父から任され、若いながらも材料を見極める目利きには自信がありました。
今から十数年前のことです。
地元の問屋さんから仕入れた畳表が最高に素晴らしく、継続して仕入れたい旨を伝えると「この畳表は偶然入荷しただけで、普段は流通に乗らないので売ることができない」と言われました。
具体的にどこが素晴らしいのかというと最大の特徴は【藺草の太さ】とその【打ち込み本数の多さ】にあります。
藺草が太いという事はそれだけ表皮が厚いという事なので耐久性があります。
また打ち込み本数とは1枚の畳に詰まっている藺草の本数のことで、単純にたくさん打ち込んで詰めれば良いと思いますが、通常の織り方では太い藺草を大量には詰めることはできません。
当店ではお客様のことを第一に考え、畳替えをした後も「すぐに皮むけしてダメになってしまった」とならないよう、見栄えだけではなく耐久性を重視した畳表を選りすぐって仕入れていました。
そんな私の好みにピッタリの畳表は熊本県の吉田昭則さんという方が栽培して製織していると分かり、是非この畳表を安定して仕入れたいという欲求に駆られました。
と、まさにそのタイミングでした。
SNSを通じて吉田さんと偶然お友達になり、まずは会って話を聞いてみたい!と思った私はすぐに熊本県八代市へ。
最初は畳表を産直して欲しいとは言えずに刈取りや植付けなど、気が付けば初めての出会いから1年間で5回も吉田さんを訪ねて藺草について、栽培方法や製織方法、また安全に対する強いこだわりを学び続けました。
そうして出会って2年後にようやく産直したい旨を伝え、まずは年に数十枚程度の畳表を送ってもらえるようになったのです。
吉田さん家族と初めての出会い
左が安い中国産・右が吉田さんの畳表
耐久性だけじゃない!どこがどう凄い?吉田家の藺草と畳表
藺草の太さと打ち込み本数が多いことで耐久性が非常に高い吉田さんが作る畳表ですが、実はその根底に耐久性に負けないぐらい【安全性】への強いこだわりがあります。
中国産が8割を占めていた約10年前から当店が中国産を使用せず国産専門店にこだわる理由でもあるのですが、中国産の藺草は国産と違い農薬の基準が非常にゆるい傾向にあります。
また化学肥料も多く使用されているだけではなく、産地が工業地帯ということもあり「用水路の水が見て分かるほど汚染されていると」中国に視察に行った関係者から度々耳にしていました。
このような中国産に比べて熊本県の藺草産地は水が透き通り、用水路に小魚が泳ぎ水草や雑草も多く茂っています。
国産は農薬や除草剤も最小限に絞り、自然と共存するように育てられた藺草がほとんどです。
実は吉田さんの育てる藺草には更なる高い安全性と藺草の良質な栽培方法がありました。
それは土作りから始まっています。
もみ殻を堆肥に使用する農家は多くいますが吉田さんはさらに焼酎の搾りカスを発酵させ堆肥にし、減農薬有機栽培農法を他の農家に先駆けて行っていました。
「畳は人が直接肌で触るものだから」と、農薬と除草剤を極限にまで減らした吉田さんの田んぼは、他の農家さんに比べて雑草が多く茂っているので刈取り時には家族揃って手で引っこ抜きます。
そんな藺草たちは刈取り後、毎年【残留農薬検査】を受けて数十品目の農薬不検出という【特定栽培農産物】の指定を受けています。
また質の良い藺草を畳表にする製織技術では過去に、年に1度の品評会で最高峰である【農林水産大臣賞】も受賞し、今年も【全国い生産団体連合会長賞】を受賞するなど、息子さんの代になってもその品質と安全性は継続しています。
生い茂る雑草
今年息子さんが全国い生産団体連合会長賞
私が心からお客様に伝えたい、たった1つのこと
私が畳屋でなければ皆さんと同じように「畳なんてどの業者に依頼しても同じ」とか「畳替えはとにかく安価で済ませたい」と思っていたと思います。
しかし現実には中国産を「中国産です」と言わないで施工する畳店がほとんどですし、赤ちゃんやペットが舐めてしまうかもしれない畳という床材に安全基準はありません。
藺草を栽培して製織するところまでが農家さんの仕事で、我々畳店はその畳表を吟味して仕入れ畳替えで縫い付け納めるのが仕事です。
技術力は勿論なので割愛しますが安全基準にどこまで重点を置き、それを正確にお客様にお伝えできるか。
そのような気持ちで今回このような想いを書かせていただきました。
現在当店では安価な施工から高級品の施工まで安全性にこだわった仕入れを確立することに成功しました。
とは言え自然と格闘して栽培された農産物ですため、時季や価格帯によっては品不足の時もございます。
本当に安全性の高い畳替えをお考えの方は悩むことなく、今すぐに当店へお問い合わせください。
必ずお客様の満足いく施工をお約束いたします。
※お問い合わせは欄外のLINE公式からが便利です。
(有)八巻畳工業 03-3917-9827
四代目 八巻太一