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普段目にする機会の少ない畳の下側ですが畳を引き上げると「あれ?初めて見たけど、うちの床板こんなになってるの!?」と驚く方が多いと思います。
建築様式によって様々な床材が使用されていますので、シリーズでその構造と掃除の仕方、出やすい害虫や通気性について解説していきます。
シリーズ2回目の今回は合板ベニヤの次に採用されている杉板・荒板(あらいた)と呼ばれる板材を使用している床についてです。
そのような床板材を使用した畳の下になる床を『荒床(あらゆか)』と呼びます。(合板の場合でも呼ぶことがある)
杉板の床材
畳の下に敷かれている床材【杉板・荒板】とはどんな素材でできているのか?
杉板は名前の通り杉で出来た約20㎝~30㎝幅の長細い板で、厚みは約9㎜~15㎜程度あります。
檜(ひのき)や松などが使用されることも過去にはありましたが、畳の下に隠れてしまう床材のため安価な杉材がポピュラーと言えるでしょう。
『荒板』とは簡単に言うと素材は何であれ丸太から同じ厚みに切り出した板のことを言い、面取りという木材の角を鉋(かんな)がけするような仕上げをしていない板材を総称して指します。
杉板は十分に乾燥させ反りが出ないように幅があまり広い物は好まれません。
しかし昔は十分に厚みのある杉板が荒床として使用されていた経緯があり、古民家などでは分厚い約40㎝幅の杉板が荒床と使用されていたこともあります。
【杉板・荒板】で出来た畳の下の床構造と素材による特徴とは
天然木で出来た板材の荒板は合板ベニヤと違い、丸太から切り出していますので年輪により板が幅方向に反ります。
細かく言うとアーチ状に反るのですが、これがまた必ず反るという訳でもなく切り出した部材によって反りの大きさは違い、湿度など環境の影響を大きく受けます。
床平面に対して凹むように反る部材は両脇を釘やビス止めすれば固定できますが、大工さんが反対に敷いてしまうと中央が出っ張るように反るため持ち上がり、その上に敷かれた畳も持ち上がってしまいます。
以前はビス(ネジ)ではなく釘がほとんどでしたので木の乾燥が進むと穴が緩み釘が効いてない状態になります。
畳を踏むと「ギィィィィ」と音が鳴るのはこのせいですね。
また天然木特有の『節』があると穴が開いたようになっていて、床下が見え気になります。
板に空いた節穴
しかし荒床の場合は湿度変化により木材同士が擦れて音が鳴らないように、または通気性の確保から板同士には必ず隙間があります。
現在の気密性が高い建築方式と違い、在来工法の建築では隙間風と和室の天然素材が湿度をコントロールしていた名残と言っても良いでしょう。
そのため気密性重視の現在では合板ベニヤが多く使われるようになりました。
荒板は根太の上に乗っていますので杉板の下側には空間ができます。
1階の場合は地面より『基礎』『束(つか)』『大引き』『根太』『荒板』の順番で積み上げますので、床板より下側はかなりの空間ができます。
荒板は前述のように板同士の隙間が多いため床下の換気が不十分の家では湿気が室内に入り込みやすい傾向があります。
気密性の高すぎる家では目に見えないダニなどの虫が発生しやすい特徴と、隙間や木の節から床下のムカデなどが上がりやすいというデメリットも。
畳替えのタイミングで防虫紙を敷くことをお勧めします。
安全な防虫紙
畳の下が杉板・荒床だった場合のメンテナンスと掃除方法とは
基本的に畳替えの際にしか床下は掃除しないと思います。
荒板の場合板同士の隙間からゴミが落ちやすいので、掃除の際は大きめのゴミをホウキで掃き取り細かいゴミは掃除機で吸い取ると良いでしょう。
釘で打ってあり床鳴りがすのであればビス止めして固定すれば静かになります。
2階以上は荒板と下階天井の間に隙間がありますのでゴミが溜まらないように防虫紙を敷いておくと良いでしょう。
天然木の杉板であれば一番の天敵はシロアリです。
私の知っている限り余程予算をケチって薄い板を使用していない限り、家の耐久年数と同等に維持できますのでシロアリ被害だけ気を付ければ荒板の張り替えは建て替えるまでまず必要ありません。
畳やその下に発生する害虫については気になるところ。
詳しくは下記のリンクをご参照ください。
当店では床板の張替工事も承っております。
気になる方はお見積り時に「部分的に畳が凹む」など、違和感を教えていただけますと幸いに存じます。