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現在国内で流通する畳表の実に80%は中国産か樹脂や和紙なのどの化学表です。
残り20%しかない貴重な国産畳表。
その原料となる藺草は90%以上が熊本県で栽培されています。
コロナ禍で2年行けなかった藺草刈りにようやく東京から行くことができましたので、ご報告いたします。
田んぼ一面の藺草
農家の朝は早い 刈取りから泥染めまで
例年なら畳屋仲間と行く刈取り作業ですが今回、私がお世話になっている吉田さんの奥様が怪我をしたとのことで、少しでも早く、出来れば大勢がバラバラでお手伝いできるようにと段取りし、まずは私が先行して八代市に入りました。
仕事の都合で夜に行って翌朝から作業となりましたが、朝といっても日の出前の4:00から肉体労働は始まります。
まずは藺草を刈り取り、藺土(染土)を溶かした水に藺草を漬け込む作業から。
何往復もして繰り返し、ようやく朝食となります。
午前3:30に起きる
朝食後 前日に乾燥させた藺草を窯から取り出して袋詰め
前の日の昼頃に泥染めしておいた藺草の束を乾燥窯に入れて干してあります。
その束を振るいにかけて余計な染土を落としてから袋詰めし、小屋の2階へ運びます。
窯の中はサウナ状態なので、いくら水分補給してもすぐに汗になってしまうほど暑く重労働です。
しかも私が行った6月末は連日35℃を超える猛暑日でして、炎天下の作業は勿論、室内でも窯が熱を持っておりさすがにバテました・・・。
丸2年していなかったので当然と言えば当然ですけどね。
空いた窯に泥染めした藺草の束を入れる作業
窯の中が空になったので、前日と今朝、土で染めた藺草束を窯の中に並べていきます。
泥染めも窯に並べるのも吉田家では全て手作業。
システムという大掛かりな装置があればそれほど大変ではないのですが、安い装置ではありませんからね。
助っ人パワーで少しはお役に立てたのかもしれません。
昼食後に田んぼへ 網を外してまた刈取り
昼過ぎの太陽は狂暴です。
長袖に帽子を被っていても容赦なく照り付けます。
田んぼに日影がないので細かく水分補給をして、まずは伸びた藺草が倒れないように張ってある網を外します。
そして藺草を刈り取ってまた泥染めの作業へ。
網を外す作業と同時進行で杭を抜いて車まで運びます。
これがまた足元ぬかるんでいるので重労働。
僕は多くて7本程度しか運べませんが、吉田さんは10本以上担いで運んでました。
畳を担ぐのなら負けないんですけど・・・。
夜露で濡れた藺草
熊本の夜は遅い 晩飯食べてすぐ寝ます
東京にいるとビックリしますが熊本の日没は20:00頃でした。
明るいうちに全ての作業をこなして、ようやく終了となります。
1人で行ったのもありますが今回は奥様がいない分、張り切り過ぎてほとんど写真を撮れずに終わってしまいました。
翌朝?も3:30起きですので身体を休めるためにすぐ就寝しました。
知って欲しい 安全な藺草(畳表)が育っている田んぼの状況とは
吉田家の田んぼは雑草が多いし、虫もたくさんいます。
除草剤や農薬を極限まで減らして残留農薬の無い安心・安全な藺草を収穫するために、田んぼには雑草が多く生え虫も動物もたくさんいます。
藺草の芯を食い荒らす蛾の幼虫により、枯れたような藺草もあるので吉田さんは「他の農家に見られたら恥ずかしい」と言います。
しかし虫も喰わない農薬まみれの藺草をお客様に提供するより、虫食いであろうと雑草が多かろうと安全な藺草が一番ですよね。
さすがに雑草の多過ぎる田んぼは収量が減るだけではなく、その雑草を抜く手間もあるので大変は大変です。
でも私はそれがとても嬉しかったです。
雑草が大量に生えている
特別栽培農産物に指定されている吉田家の藺草で出来た畳表は、お値段以上に安心・安全のユーザー目線に立った素材です。
本当にいつも頭が下がります。
次は10月の植付け準備作業のお手伝いで熊本入りします。
きついけど楽しい。
そんな2022年の藺草刈りでした。
来年刈り取る藺草
東京都北区で四代110余年
有限会社八巻畳工業
03-3917-9827