一昔前まで{畳}と言えば藺草(いぐさ)を原料とした畳表(ゴザ)が当たり前でした。
しかし昨今では和紙をはじめ樹脂やPP(ポリプロピレン)など様々な素材の畳表が登場しています。
今回はその中でも{和紙表}を分かりやすく解説し、使用する際のメリット・デメリットをご紹介します。
和紙の畳表
・畳の構造
まずはじめに畳の構造をご説明します。
今回の和紙表は畳の表面に張り付けてあるゴザのことです。
畳本体の土台部分は畳床(たたみどこ)と言います。
畳替え図
和紙表を試してみたい方はご自宅の畳を『新調』するか『表替え』する際に採用することとなります。
ご注意いただきたいのは和紙表は畳床が藁(わら)製の場合、表面に凹凸が浮き立ちやすい特徴があります。
ダイケンボードなど木質繊維製の畳床であれば平らなので凹凸は浮き立ちにくいです。
・素材
機械漉き和紙を「こより」にして細長くしたものを1本1本織って畳表にしています。
和紙のこよりに樹脂コーティングすることによって撥水し汚れやカビの防止にもなっています。
芯は和紙製
・メリット・デメリットについて
◎メリット
【カビ・ダニの発生を抑える】
樹脂コーティングにより撥水性能があるのでカビやダニは発生しません。
【日焼けしにくい】
天然藺草(いぐさ)と違い植物ではないので日焼しにくく、納品時の色を保ちます。
【高い耐久力】
メーカーでは藺草の3倍耐久力があると公表しています。
実際には藺草の畳表にはランクがありますので、目安としてお考えください。
【お手入れが楽】
樹脂コーティングの撥水加工により、飲み物などをこぼしても拭き取れば染みになりません。
カビが生えないので水拭きも出来ます。
メーカーカタログより
【カラーが選べる】
豊富なカラーを取り揃えていますので、お部屋や好みに合わせて自由に選択できます。
豊富なカラー
◎デメリット
【藺草のような効果・効能は無い】
天然藺草の良い香りや調湿・空気清浄・天然抗菌作用はありません。
【樹脂コーティングは剥がれる】
当たり前のことですが経年劣化により表面が擦れると樹脂コーティングは剥がれます。
剥き出しになった和紙は水分を吸ってしまいますし、汚れも付着します。
【肌触りが少しザラザラする】
天然の藺草に慣れた方ですと少しザラザラした感触に違和感があるかもしれません。
ペタペタ張り付く感じは無いので、そこまで気にならないとは思います。
【跡が残りやすい】
四つ脚の椅子など点で力が加わると少し凹んだ跡が付きやすいです。
光の加減で点々と目立つので見栄えが悪くなります。
白っぽい所は凹んだ跡
【急ぎの注文は厳しい】
カラーが豊富にあるので全色在庫している畳屋さんはありません。
受注から取り寄せになるので、施工日は余裕を持って予定しましょう。
・お勧めの使用場所
退色しないのとお手入れが楽な理由で旅館やホテルに採用されることが多いです。
ご自宅で使用なさる場合はどのお部屋でも問題ありませんが、お勧めは食事をする居間や湿度の高い地下室・1Fなどです。
飲み物をこぼしても拭き取れば染みになりませんし、天然の藺草ではカビが生えてしまうような環境でも樹脂コーティングでカビやダニが発生しないのが理由です。
ただし頻繁に利用する部屋の場合、耐久性が高いとはいえ表面が擦れて傷みやすいので樹脂コーティングが剥がれてしまいます。
そうすると利点が一気に無くなりますのでお勧めはしません。
・まとめ
いかがだったでしょうか?
メリット・デメリットを比べてみて、お部屋の環境に合わせた選択をしていただければ幸いに思います。
個人的に和紙表は半畳縁無し市松敷きが好きです。
1色でも向きを変えて敷くことにより2色に見えますし、2色バラバラでもお洒落な部屋になります。
カラーはダイケンさんのホームページにもありますが、カタログもございますので実際に触ってみたい方はお問い合わせください。
サンプルが小さすぎてイメージが沸きにくいのが難点ですが・・・。
縁無し半畳一松敷き
東京都北区で四代110余年
有限会社 八巻畳工業 03-3917-9827