今から25年前、大学受験を失敗した私に父は一言「浪人するなら畳屋を手伝え」と言いました。

今考えるとおかしな理屈で、普通は勉強に専念させてくれますよね?

その時は訳も分からず夜間の予備校を申し込み、なぜか昼間は畳屋を手伝わされたのでした。

当時は父と年配の職人さんがいたので本当の意味で『お手伝い』しかできず、翌年も受験に失敗し夜間の専門学校へ行くことに。

ここでもう一つなぜ?があるのですが、父は「夜間の学校へ行くのなら畳屋を手伝え」と言うのです。

そんなこんなで適当に畳屋になった私は、不況という事もあり仕事が暇な日が結構ありました。

あまりにも暇だったので「畳でこんなの作ったら売れるんじゃないか?」と日々遊びながら作っていた畳小物を今回は一気に大放出します。

 

 

 

畳パチンコ

 

2008年頃に作った{畳パチンコ}である。

主にイベントで小学生から小銭を巻き上げるために利用。

一回100円で2万円ほど儲けたモンスターマシン。

 

 

畳縁のリース

 

2008年頃、イベントの物販で妻が作って大売れした作品。

現在は藺草をねじって巻きリースにしているが、たぶん畳の素材を使ってリース作りをしたのは業界初だったと思う。

悔しいが妻が考えた商品はよく売れる。

 

 

 

畳枕

 

2011年に母が喜ぶだろうと作ってあげたが、反発力が凄いので安眠できないらしい。

実家のどこかで眠っていると思う。

 

 

 

 

キーボード用リストレスト

 

2013年に作成。

商品化はしていないがプレゼントして一番喜ばれた作品かもしれない。

最近畳屋の後輩が作って売れているのを見て、元祖としてマージンを要求したいと思っている。

 

 

カーシート用のゴザ

 

夏場は汗をかいてもベタつかず快適で最高。

しかし耐久性はあまりないので、すぐ傷むから作り直さないといけず、面倒になり今は作っていない。

 

 

カーシート用のゴザⅡ

 

痔になったので丁度良い部分に穴を開けたが、そもそもゴザが薄いので意味が無かったのと、出来上がった頃には完治していた。

 

 

 

カラスの死体

 

屋上にカラスがやたらくるので、廃材の黒縁・ペットボトル・針金ハンガー・発泡スチロールで作って転がしておいた。

それからは嘘みたいにカラスが来なくなったという名品だが、作る手間を考えるとホームセンターで既製品を買った方が早い。

 

 

 

 

畳ヌンチャク

 

2012年に作成し、2014年のT-1(畳1)グランプリでは振り回して入場した。

畳で出来ているので当たっても痛くなく、ヌンチャクの練習に向く。

振り回せば振り回すほど良い香りで癒される不思議な武器。

 

畳マスク

 

2013年、人生で初めて講師を任された際、緊張のあまり死んでしまうのではないかと思い作ったマスク。

これなら別の何者かになったような気がして緊張しないと思いきや、必要以上に注目を集めて大失敗。

すぐ脱いで今はどこにあるのか分からない。

 

 

畳マスクバージョンⅡ(正確には畳縁マスク)

 

2014年岡山畳材ショーのT-1グランプリ出場時、なぞのマスクマンとして出場。

大会前に本部役員から「写真に乳首が出ているのはどうなんだ?撮り直せ!」と言われるも「この写真でなければ出場しない!」と突っぱねて出場。

結果は敢闘賞だったが畳業界に大きな爪痕を残す。

※因みにマスクマンが私ではないという設定は今でも守られている

 

 

リクライニング畳

 

同じくT-1グランプリの出場作品。

持病の{逆流性食道炎}により傾斜が付いていないと寝れない悩みを解消した畳。

チェック柄だが天然の藺草で出来ていて、普段は平たく普通の畳として使用できる。

 

 

蛍籠(ほたるかご)

 

本来は丸い形に仕上がらないといけないのだが、何個作っても必ずキノコ型になってしまうため断念。

コレでは蛍が入らない・・・。

 

 

ゴザ布団

 

2017年、突然「ゴザで包まれて寝たい!」という欲求が爆発し作成。

寝袋のようになっていて暖かいが身動きが取れないので寝ゴザとして現在は使用中。

 

 

ミニ畳

 

普通の縁ではなく{江戸小紋の正絹生地}を使用した置き畳。

小さいのにとんでもない材料費が掛かっているので商品化出来ず、完全に自己満足の一品。

 

 

いかがだったでしょう?

どれもこれも「本当に商品化狙ってんのか?」という畳小物たちでしたが、作ってて面白くなければやりたくない性格が災いしてますよねぇ。

作ってる時は「これイケるっ!!」ってニヤニヤしながら作ってるんです。

出来上がった瞬間に「こんなに手間喰う商品、作ってられっか!」ってなるんですよ・・・。

でもまた創作意欲が沸いたら作ります。

 

 

東京都北区で四代110余年

有限会社 八巻畳工業