2014/3/20
皆さんは畳表(イ草)の約8割が中国産だという事をご存知でしょうか?
皆さんは国産畳表(イ草)の9割以上が熊本県で栽培された物だとご存知でしょうか?
皆さんは国産畳表が10年前の約10分の1にまで減少している事をご存知でしょうか?
もちろん畳自体が減少しています。
しかしイ草農家さんの減少は国内・海外を問わず急激に減少傾向にあります。
理由は過酷な労働に見合わない賃金が主です。
畳表が全く無くなる事はしばらく無いでしょうが、今後価格の高騰や品不足による品質の低下は年内にやってきます。
そこで私は少しでも品質の良い物を安定して供給できるように、熊本県のイ草農家さんへ研修に行ってまいりました。
農家さんの現状は直接見てみないと理解できないと感じたからです。
では畳表は誰が栽培しても同じでしょうか?
誰が織って(ゴザにする)も同じでしょうか?
誰から買っても同じでしょうか?
私が研修に訪れたイ草農家の吉田さん。
何が他の農家さんと違うのか?
まず在来品種と言って、昔から畳表に使用されてきた太くて表皮の厚いイ草を主に栽培しています。
この種は耐久性に優れているのはもちろん、イ草本来のスポンジ構造のお陰で吸湿性や弾力に富みます。
唯一の欠点(私は欠点だと思っていませんが)と言えば少しだけ表面にムラがある所でしょうか。
現在イ草のほとんどを占めている「ひのみどり」という品種に比べての見栄えですが、それを補って余りある良さが在来種にはあります。(ひのみどり品種以外は作付けする農家さんが極端に少ない)
さらに吉田さんの畳表はイ草の本数が詰まっています。
写真のように一本一本織り込んでいくのですが、この時イ草の本数を少なく織れば畳表は多く生産できます。
国産品ではあまりありませんが中国産ではスカスカ状態で送られてくる場合があり、これは畳屋にはどうしょうもありません。つまりお手上げ状態なんです。
吉田さんのようにイ草を詰めて織ってあれば耐久度が上がります。
また、何でもかんでも詰めれば良いと言う問題では無く、イ草自体がしっかりとしていないと潰れてしまいます。
吉田さんは残留農薬の検査も毎年行っており、安心・安全の畳表を提供してくださります。
驚いたのはほとんど農薬を使用しないので、虫に食われ変色したイ草を一本一本手作業で取り除いていた所です。
先枯れ(穂先の変色)などもしっかりと間引き、当店に送られてくる物はほとんど検品作業がいりません。
吉田さんは現在、お父さんお母さん・吉田さん奥様・息子さんの5人態勢です。
畳屋業界もイ草農家さんも後継者問題が一番深刻です。
そんな中若い後継者がいる農家さんは非常に貴重です。
今回は突然押しかけたのに丁寧に説明して下さったり、作業している所をたくさん見せていただきました。
私も今回の事だけで分かった気にならず、今後も熊本に行って勉強を続けると共に、安心・安全の国産畳表を安定してお客様に提供できるよう精進いたします。
東京北区で四代100余年 (有)八巻畳工業
ホーム https://yamaki-tatami.com/