2025年6月29日、東京家政大学で開催された未就学児とその保護者向けの環境学習講座「自然と人のかかわり」に、今年も講師として参加させていただきました。

当店では2019年から毎年このような講座を継続して行っており、なぜこれが未就学の子供たちと、その保護者にとって必要不可欠なのか?

そして環境学習がどのように社会に貢献するかを考えてみました。


1. 環境学習講座が未就学児と保護者に必要な理由

環境問題は子どもたちの未来に直結する重要な課題です。

特に未就学児は家庭での教育がその後の生活に大きな影響を与えるため、環境問題に対する意識を小さいうちから養うことが非常に大切ですよね。

環境問題は日々の生活に直結しており、親子が一緒に学ぶことで、日常の中でどのように環境を守るかを実践的に学ぶことができますし、家庭内での会話の中に取り込んでもらう事で、より身近なテーマになると思います。

私たちが子どもたちに伝えたいのは「自然と人のかかわり」の大切さです。

自然を大切にし環境を守ることが、どれほど重要かを学ぶことで子どもたちが成長していく中で、環境に対する意識を高め、より持続可能な社会の形成に貢献していくことができます。

親たちもまた家庭でのエコライフを実践しやすくなり、社会全体で環境意識が広がると言うと大袈裟ですかね。


2. 2019年から毎年講座を続けている理由

私は畳屋として畳を通じて環境に優しい社会の実現を目指してきました。

畳は天然素材で作られており、環境への負荷が少ない循環型社会に貢献する重要な製品です。

この講座では、畳を通じて「環境保護と伝統的な生活文化の関係」について伝えています。

畳は単なる床材としての役割だけではなく、自然と人の関係を深く理解するための大きなヒントを与えてくれる存在です。

2019年からこの講座を始めた理由は環境問題が一過性のものではなく、私たち一人ひとりが日常生活の中で意識して取り組むべきものであると強く感じたからです。

また、未就学児とその保護者に環境問題への意識を植え付けることが、将来的に持続可能な社会の形成に繋がると確信しています。

そのため毎年この講座を継続することで、少しでも多くの家庭に環境に優しい生活を提案し、実践していただけることを目指しています。


3. 循環型社会に貢献する畳の特徴とは?

畳が環境に優しい理由は素材の大部分が自然由来であり、再生可能である点にあります。

畳表(藺草)は自然素材であり、畳床も藁(わら)を使用しています。

現在では化学繊維が多くなりましたが、いまだに畳の縁は綿製も多くありますし、最高級品は麻製の縁です。

これらは生分解性があり、使い終わった後に環境に負荷をかけずに土に還ることで処理できます。

さらに畳はその耐久性と寿命の長さから長期間使用することができるため、頻繁に廃棄されることがありません。

例えば新調した畳は経年劣化で表面が傷んでも、畳表の裏側は未使用なので畳表だけを引っくり返して再利用できますし、その後は畳床はそのままに畳表を新しくするという手法で100年以上前の畳も現存します。

畳を適切にメンテナンスすることで長期間にわたり使用することができ、結果的に消費を抑えることができます。

この循環型社会の一部として畳を使用することは、資源の無駄を減らし持続可能な社会の実現に貢献しています。

また畳の製造過程では、藺草の栽培にも環境に優しい方法が取り入れられています。

藺草は田んぼで育成されるため空気清浄効果があり、CO2の吸収にも寄与します。

このように畳は使用する素材の選定から製造過程、使用後の処理に至るまで、すべてにおいて環境への配慮がなされています。


4. まとめ~環境教育が未来の社会に与える影響~

私たちが子どもたちに環境教育を提供することは、未来の社会に大きな影響を与えることができます。

環境学習を早い段階で実践することで、子どもたちは成長するにつれて自然を大切にする気持ちを持ち、持続可能な社会を築くための行動ができるようになります。

また、親が一緒に学ぶことで家庭でもエコライフを実践しやすくなり、家庭内での環境意識が高まります。

このような取り組みが広がることで、私たちが目指す循環型社会の実現が一歩ずつ進んでいくと信じています。

畳屋としても、環境に優しい製品を提供し、未来のためにできることを積み重ねていきます。