日本全国から畳の材料が勢揃いする一大イベント、第一回{岡山畳材ショー}という大展示会が岡山ドームで開催された。
様々な畳表や新素材の展示以外にも、畳屋さんが作った作品展なども注目を集めていた。
畳関連作品の展示品
そんな中でも第一回畳1グランプリ(T-1グランプリ)という、自由な発想で様々な素材と道具を駆使して技術も競いながら畳を作るという競技会が開催された。
競技者は全国から集められた精鋭6人。
1 有職(ゆうそく)の技術だけでなく最新の畳製造マシンを導入している佐賀県の古賀さん。
2 地元岡山県出身ので音の出る畳を作るという清水畳店の鳥越さん。
3 「全国技能グランプリ」という手縫いのみの技術を本気で競い合う大会で優勝した兵庫県の森岡さん。
4 畳オタクという意味では右に出る者はいない、技能グランプリ常連の東京都代表柳井さん。
5 山形県から親子で参戦し光る畳を提案する畳屋清兵衛、矢作さん。
6 そしてトリはメキシコ出身?謎のマスクマン。
実は大会当日まで皆に黙っていた事がある。
誰も気付かなかったので結果的に大成功なのだが、、謎のマスクマン・・・・。
正体俺ですっ!!
いやぁ~、この半年間、、絶対に正体がバレてはいけない!と必死でした。
「岡山でマスク被るんですって?」とか「グランプリ頑張ってね!」とか言われても全て「その日は法事で行けないので僕じゃないです・・・」で、何とか乗り切った。。
そしてグランプリ当日は選手に準備時間が与えられており、本番の1時間意外にマスク被るの嫌で小細工もした。
いよいよ本番である。
入場は上半身裸にタイツ姿。(タイツはユニクロのヒートテック)
一人だけ入場曲(マスカラスのやつ)を付けてもらい、畳で出来たヌンチャクを振り回しながら意気揚々と登場。
いやぁ~、、ルチャリブレ(メキシコのプロレスラー)意識して太るの大変だったわぁ~。。。
いやいや、マジで普段はケイン・コスギみたいな身体してるんですが、あえて腹が出てる感じにするため太ったんですって!逆に減量に苦しむプロボクサーの気持ち分かったもん☆
股間から万国旗が出るというアクシデントもありました。。
そして選手達に与えられた本番1時間で競技スタート!
私のコンセプトは{業界では邪道と言われる道具を駆使して製作する、逆流性食道炎でも安心して寝転べる畳}という、、非常に狭い範囲の特殊な畳製作でした・・・。
しかし素材は一級品!
熊本のイ草農家である岡さんが作ったすっぴん畳表です。
この畳表は染土を一切使用していないのが特徴で、通常イ泥といって泥水にイ草を漬けてから乾燥させます。
しかし岡さんのすっぴん表は田んぼの土からこだわり、草本来の力を最大限に生かし染土に頼らない素晴らしい畳表を作っています。
各選手助手が一名まで認められており、ウチは元大道芸人の工場長こと右腕の寺内。
ピエロの格好で作業よりパフォーマンスに精を出すという・・・・・・。
※写真はピエロの中身
実は大会には厳密なルールがあり、反則するとイエローカードが出されます。
カード2枚で失格なので、1枚で何とか収めないといけない。
そこで考えたのが{分身の術}という秘奥義。
※二番目澤畠畳店さん顔出ちゃってますが・・・。
※三番目東和小川畳店さんの作ったお揃いの縁製蝶ネクタイ
※四番目高野畳店さんは同じ歳で栃木県からの参戦
※五番目高岡屋常川畳店さんは訓練校の後輩
※六番目杉浦畳店さんは東京畳訓練校の同期で頭が大過ぎてマスクが入らない☆
私を含めた分身6人が畳を一気に仕上げるという荒業。
しかしそれだけでは観客も納得しないでしょう。
だから個人的に大嫌いな東京代表の柳井さんを襲いました☆
その間ピエロが審判を連れ出し反則取られないようにし、いざ分身達に畳作らせようとしたら喧嘩始めやがったんですよ。
そしてマスクの剥ぎあいが始まり、最後は本物の私が勝ち残りました。
っが、審判に見つかってイエローカード・・・。
3分間の作業停止というペナルティーを受け、仕方が無いのでピエロは大道芸で観客を沸かしてた。。
そんな事してたら残り時間が残り僅か!
慌ててやっつけ仕事で完成へ。
その後全国の畳屋さん達が審査員となり一票ずつ各選手に投票してチャンピオンが決まりました。
優勝は技能グランプリ優勝でT-1も含めると2冠の森岡ペア(助手は大空畳店、空野さん)でした。
なんとこのペア、短い時間で手縫い仕上げです。
驚く事にこのペアの作品だけ畳の裏を見せるように展示。
要するに同業者が審査委員ですから、裏を見れば全て分かる世界なんです。
その土俵で堂々と最多得票数で優勝。逆立ちしても敵いません・・・。
結果として敢闘賞でしたが力は出し切りました。
私は最後のプレゼンでこう言いました。
昔、手縫いしか無かった頃は小型逢着機を馬鹿にした。
小型逢着機が主流になると、その人達は大型機械を馬鹿にした。
大型機械が主流になると、その人達はラインやロボットを今、馬鹿にしている。
時代や素材・お客様の趣向が変化しているのに職人達は進化しようとしない。
この道具は邪道だと悪口を言うより、様々な場面に対応できる畳屋が今後生き残って行くのではないでしょうか?(因みに私は国家資格である畳製作一級技能士)
今回の岡山畳材ショーはそのために開かれたのではないでしょうか?
と締めくくりました。(※だいぶ付け加えております☆)
最初は運営側から「マスクマンは乳首写ってるから写真撮り直させろ!」から始まり、よくここまで来たもんだ。。
「畳業界の常識、世間の非常識!」
今後も常識をぶち壊すような大暴れをご期待下さい!!
最後に・・・。
畳材ショーを主に牽引して下さった佐々井商店さん。
プロジェクトチームの皆様。
大会の趣旨を理解し、私に投票して下さった畳屋さん。
競技中の写真を提供して下さった有志の方々。
競技者としてだけではなく、私の提案に快く協力して下さった選手と助手の皆様。
会場に足を運んで下さった畳関連業者の皆様。
ありがとうございました、心より感謝申し上げます。
東京北区で四代100余年 (有)八巻畳工業
トップ https://yamaki-tatami.com/