町場の畳屋がまた研修に行きましたよ。
今度は杜の都仙台でセミナーを受け、松島で被災地を視察し、畳の藁床(わらどこ)を製造している会社へ体験に行きました。
折りしも全国的に記録的な大雪警報が出る中・・・・。
東京から仙台に向かう新幹線は30分遅れで到着してくれました。
ところが一緒に向かった畳屋さんはなんとスニーカー!
「東北なめてるんですかっ!!」と一喝した私は本気の長靴ですよ。
当然じゃないですか?大雪でセミナー会場に辿り着けない方が続出している中、スニーカーって・・・。
意気揚々と仙台駅に降り立ち「さあ雪!どっからでもかかってきなさいっ!!」と外へ出るや否や、まあ晴れ渡った青空。。気温も東京と変わらないんじゃない・・・?
歩道も程よく雪かきしてあり、、最後の抵抗でワザと雪の残った場所を歩く事しかできなかったッスよ、、俺。。。
今回の研修会、セミナーの内容はいつものように割愛させていただきますが、一番「行って良かった!」と感じたのは実は畳とそれほど関係の無い被災地の視察でした。
何と言っても実際に被災し、あの津波から生き残る事ができた語り部さんの話を聞けたのは、本当に一生物の宝でした。
画像の通り、今まで当たり前にあった物が全て無くなっていました。
仮設住宅や倒壊した建物を拝見させていただきショックを受けました。
しかし震災当時の被害は今現在では計り知れません。
自分が被災者の立場であれば、このようにバスに乗り込み当時の惨劇を語る事が果たしてできたかどうか・・・。
生の声を聞かせてくれた語り部さんに、ただただ感謝するだけでした。
私は非力で何もできない人間ですが、東日本大震災を風化させない。この事だけは強く胸に刻んでこの日は宿に帰りました。
翌日は畳の芯部分である畳床(たたみどこ)の製造工場見学です。
元来畳の床は藁(わら)で作られておりました。
現在は新建材の普及で減ってしまった藁床(わらどこ)ですが藁床にも利点が多数あります。
特に調湿性に優れ、程好い弾力や吸音効果、難燃性、シックハウスの原因になるTVOCの発生は極めて低いという特徴を持っております。
「藁はダニが・・・」と言う方、お任せ下さい!
ダニを完全にシャットダウンさせる人体に無害の防虫シートがあります。
まあそもそもダニは布団や衣服にもいますので、適度な掃除と換気でほとんど防げるのですが。。
この畳床を製造する酒井寅雄商店さんで何を体験したかと言いますと、実際に藁をくべて畳床を私達に作らせてもらえたんです。
ベルトコンベアーのような作業台に藁を均一に並べます。
この時、厚みが40cmもあるのですが縫い締めると6cmの厚みにまで圧縮されるのです。
昔の人はコレを手で縫い締めていたというのですから驚きますよね。。
そして私達が作った藁床はどうなのか?
せっかく作った床(とこ)をすぐさまばらします。
私達畳屋でも分かりにくいムラ(藁が均一でない)を社長が指摘して行きます。
表面上は分からないのですが、このムラが数年~十数年で凹凸となるそうです。奥が深いですね~。
そんなこんなで結局長靴が活躍しなかった東北研修でしたが、、50数名の畳関連業者さん達と酒を酌み交わしたり、年下の畳屋さんにスリッパのままコンビニ行ってカップラーメン買ってきてもらったり、部屋に貼り出してある名前が間違っていたり・・・。(八巻が正解です☆)
東北研修、とても勉強になりました!!
東京北区で四代100余年 (有)八巻畳工業
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